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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
19.向カウハ修羅ノ道
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「また芋虫エリアに行くんなら組まないか、と言おうかと思ったが……人形野郎がいるんならその必要もねぇか」
「ああ。おかげで面倒な敵は全部押し付けられ、好きな魔物と戦える。到れり尽くせりの優雅な旅路になりそうだ」
「ハッ!優雅なんて世界で一番テメェに似つかわしくねぇ言葉だとばかり思ってたぜ。……テメェの行く先に出来るのは泥塗れで血腥(ちなまぐせ)ぇ屍山血河の道だろ?」
「そう、屍山血河(レッドカーペット)の道だ。くたばった時は俺の血がカーペット代わりになってくれる。洒落てるだろ?」
「テメェの洒落は洒落になんねぇっての。で、物は相談だが……くたばるんならその前にテメェの隠し札とレベル全部吐けや。まだ聞いてねぇぞ?」
「嫌なこった。俺の事は俺だけが知っていればそれでいい」
「秘密主義か?似合わねぇな、キザ野郎」

 ケッと小さく悪態を漏らすベートだったが、その表情には「それでこそのお前だよな」と言わんばかりの……そしてそれを確認できたことに満足するような笑みを浮かべていた。オーネストもシニカルな笑みを一瞬浮かべ、二人は前触れもなく別れて自分の行くべき道へ向かった。

「勝手にくたばんじゃねぇぞ」
「俺の命の使い途は俺が決める。それに俺は明日の予定など気にしない主義だから約束しかねるな」
「よく言うぜ、結局は生きて帰る癖に……」

 二人は似ているようで似ていない。
 ベートは常に高みを目指すが、オーネストは高みに興味はない。ただ、その日に自分の眼前に立ち塞がった障害を全力で破壊しようとするだけだ。しかし、一度戦うと決めたオーネストは、断固戦う。本当に、だれかに強制的に止められるまで戦う。相手が格上だとか攻略方法がないとか、それはオーネストには関係がない。

 全てを賭してでも相手を打倒しようとする、純粋な闘志。
 その極めてストイックな姿勢を、ベートは一人の戦士として尊敬し、意識している。
 そして、ベートにとってはそこまで分かっていればそれ以上は必要ない。後はそれを踏み台に乗り超え、更なる高みを目指すだけだ。背負う過去や人間関係などに興味はない。

 嘘も詮索も、する必要がないから口にしない。
 意識はしつつも、交わることはない道。

 だからこそ、この二人は上手くいく。


 逆説的に交わると上手く行かないかと言うと、そういう訳でもない。
 ゴースト・ファミリア然り、時折道が交わる存在はいる。

 しかして世の中には物好きというのが存在するもので、仲が悪く気に喰わないのに態々向こうから関わってくる人物もいるのが現実だ。

「……二人してな〜に恰好つけてんだか。全然格好良くないしダサいんだけど?」
「まさか仲間のベートでなくて俺の道に先回りしてまで絡みに来るとは恐れ入る。お前は全自動嫌がらせ装置か
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