18.なきむしオーネスト
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がこんな迷惑なクソガキを冒険者として『飼って』んのか知らねぇがよお……クソガキってのは生きてるだけで迷惑なんだよ」
「だから、人間扱いもせずに暴力を振るっていいとでも言うのか!?それがどれほどの傲慢か理解して言ってるのか……ッ!!」
「はん、俺にはこんな薄汚ねぇクソガキを庇う嬢ちゃんが気味悪くて仕方ねぇ――さぁ、おべんちゃらはここまでだ。まずは俺の剣を返してもらって、躾けはそれからだ!」
男の野太い腕がゆっくりと木箱に埋まる少年に伸びる。
粗暴で、粗野で、優しさなど欠片もない蛮人のような荒々しいその掌に――黒い刃が生えた。
「あ…………?」
突如自分の利き腕に奔った衝撃に、大男は顔を顰める。
その刃の正体を確かめる前に、大男の掌から夥しい量の血液が噴出した。
「ゴチャゴチャと……迷惑な屑は、手前なんだよクソがッ!!」
年端もいかない貧相な少年の内より溢れる、魂を焦がすほどの憤怒の双眸。
刃の正体は、少年の突き出した黒曜の剣の切先だった。
それを理解した頃には、既に男の掌は縦一閃に切り裂かれた後だった。
「――うぎゃあああああああああああああああああ!?いい、痛い!?痛いぃぃッ!!ぐああああ、ああああー!!あああああああああああああああああああああ!?」
想像を絶する激痛に大男はその場でのたうちまわって醜い悲鳴を上げた。少年は大男の返り血を浴びながら身の丈に合わない剣を携え、烈火のような怒りを湛えてその男に更に斬りかかった。男は自分の手があり得ない形状に裂ける光景に恐慌状態に陥り、まだ酒も飲めない年頃の少年の太刀を躱すことも受け流すことも出来ない。
「てめぇがッ!!どこの誰でッ!!何を無くそうがッ!!俺の知ったことじゃねぇんだよおおおおおおッ!!」
「げふぅッ!!ああ、ああ、やめ――ヒギャァァァァァッ!?」
体躯に合わない大きな剣を両手で力任せに振り回し、少年は微塵の躊躇もなく人間を斬る。それは、この街でも完全な非合法で、一種の禁忌とも言える行為だった。
暴力沙汰とて大半は見逃されるものの、時にはファミリア同士の抗争の火種になることもある。そんな中、魔物を斬るべき剣を人間に向けるのは度を越した行為だ。その行動をすれば周囲を一斉に敵に回し、度が過ぎれば指名手配。こんな真似を本気でするのは闇派閥か、確実にばれない場所でする闇討ちだけだ。
普段のレベル3としての戦士ならば避けられたはずの攻撃。だが、悪魔に憑りつかれたように怒り狂う少年の尋常ならざる殺意と、躊躇いもなく人間の掌を『縦に割る』常軌を逸した行動が、男の心の弱さを強引にこじ開けた。
力任せに棍棒を振りかざすような荒々しい斬撃は、大男の腕や足を真っ赤に染め上げる。深い傷ではなかったが、鎧を潜り抜けて
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