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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
18.なきむしオーネスト
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近どうも、ボクは子供に甘すぎるな)

 自らの行いを自嘲しながらも、ヘスティアにはどうしても忘れられない少年の顔があった。
 嘗て自分によく懐いていた一人の子供を助けることが出来なかった、忌まわしき悔恨。
 全てを知った直後にヘファイストス・ファミリア総出で捜索を行ったにも拘らず見つかることのなかった、あの子の事を。

 もし、ヘファイストスに甘えてばかりでなく『あちらのファミリア』にも顔を出していれば、歪みの前兆くらいは感じられたのかもしれない。それが叶わなくとも、親と引き剥がされたあの子を保護するくらいは間に合ったのかもしれない。そんな後悔が、子供を見る度に脳裏を過る。

(ここでボクがしゃしゃり出ても、たかが貧乏少年の身体に傷が減るだけ。自己満足でしかない……でも、自己満足も出来ないからボク達はあの時、後悔したんだ……)

 きゅっと口元を引き締め、ヘスティアはとうとう物陰から身を乗り出す。だが、それとほぼ時間を同じくして――大男に肩を掴まれていた少年が沈黙を破って顔を上げた。

 結果から言うと、ヘスティアは少年の事を見誤っていたのだろう。勝手な先入観で、彼が怯えて口を出さないのだと思い込んでいた。だからこそ少年が動いたことに少し驚き、そして次の瞬間に更なる驚愕が襲った。

「お前のことなど知ったことか。そこをどけ、木偶の坊」

 一瞬、空気が凍りついた。

「こっ………のガキィッ!!」

 やや遅れて、その言葉が自分に向けられていることに憤怒した男の剛腕が少年を殴り飛ばした。埃が吹き飛ぶように簡単に宙を舞った少年の身体が路地に積み立ててあった木箱に激突し、少年の身体は崩れた木箱に埋められる。
 がらがらと音を立てた木箱は少年の上に降り注ぎ、彼の上半身が埋まって見えなくなる。

「フゥ、フゥ……どの口が木偶だとぉ!?俺様はレベル3の冒険者だ!!テメェみたいな薄汚ねぇゴミクズと俺様を一緒にしてんじゃねぇッ!!」
「――ッ!!し、少年!!」

 ヘスティアは、その場を瞬時に飛び出して吹き飛ばされた少年へと駆け寄った。
 相当な馬鹿力だった。下手をすれば骨が折れているかもしれない。少年の無謀で傍若無人な物言いに肝を冷やしながら、ヘスティアは非力な腕で少年の上に乗った箱を退けようとする。

「大人しく剣を返してりゃ良かったものを……へへ、もう許さなねェ!!おい、どけよ白い嬢ちゃん。大人を舐めた子供がどんな目に遭うか、もっと体でわからせねぇとならねぇ!!」
「ま、待つんだ!たかが子供の言ったことだし、もう充分彼は痛い目を見ただろ!?落ち着いて、剣だけ持ってこの場は下がってくれ!!」
「うるせぇッ!テメェも俺を馬鹿にすんのかぁッ!!」
「キャアっ!?」

 剛腕がまた振るわれ、今度はヘスティアの
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