17.兎、幽霊の集いと出会う
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。義手とは思えないほど滑らかにスプーンを持つその手に注がれる視線に気付いたガウルは、「格好いいだろ?」と言いながら手を見せびらかすように軽く掲げた。
「昔にバカやった代償でな……戦闘用に改造してるから何とか今も戦えてる。おかげで二つ名の一つは『鉄腕』だ。お前はちゃんと五体満足で生き残れよ?」
「が、がんばります!……ってアレ?『二つ名の一つ』……?二つ名って確か一人に一つじゃ……?」
冒険者の二つ名は、レベル2以上の冒険者全員に与えられる特権だ。それが複数あるなどという話は、ベルは聞いたことがない。アズとオーネストはその例外に当たる特別な存在らしいが、ガウルもそれだけ特別なのだろうか。
「二つ名ってのは途中で別のものに変わることもある。ちなみに俺の二つ名は三つ。前のファミリアに居た頃に付けられたのが『紅砂嵐』、その後に周囲に勝手につけられた仇名が『鉄腕』。その後発現したしたスキルの特性と元の二つ名が一致しないって話になって、今の正式なのは『夜魔』になってる」
二つ名を3つ持つ男……ということは、それだけ注目されるほどの冒険者だとも取れる。しかも3つともベル的には滅茶苦茶恰好良くて憧れるものばかり。僕もたくさん二つ名が欲しいな、などと妄想するベルだった。
そんな格好いい彼が新たな右腕を手に入れた際と、その後にこの館に来る切っ掛けに、オーネストは深く関わっているらしい。ガウルはそれ以上は深く語らず、用意された料理の一つに手を伸ばした。
「んむ……美味い。メジェド様も料理が美味いし、俺も練習すべきかなぁ……?あの方は自分の食事風景は見せないけど失敗料理もきっちり平らげてくれるから、偶に申し訳なくなるんだよなぁ……」
「がうるはホンマに主神さまがお好きなようで……私の郷では男が台所に立つんははしたないていうんが普通やけ、異郷の男はよう分かりませんわ?」
「極東の文化は訳わかんねぇな。アズ様なんかアタシより台所似合ってるし、オーネスト様でさえアタシがナーバスな時は料理作ってくれるのによぉ?」
「ちなみにオーネストの料理の腕前は?」
「バッカお前ガウル!オーネスト様がアタシの為に料理手作りだぞ!?嬉し過ぎて幸せの味しかしねぇよバカっ♪も〜このバカっ♪」
「おーねすと殿の手作りやもんねぇ……分かるで、貴方のお気持ち!」
何やらメリージアと一緒に盛り上がっているこれまた不思議な喋り方の女性。
女性の名は、クニツ・浄蓮というらしい。
オシラガミ・ファミリアのしがない冒険者と言っていたが、その肩を露出させた大胆な着物の着こなしと美しい黒髪はとてもだが冒険者には
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ