17.兎、幽霊の集いと出会う
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出来るまでこのお金の事は考えないようにしていたんだッ!!」
ヘスティアは身銭が長く身につかない。自分で手に入れたお金は割と考え無しに浪費していることが多い。労働をすればするほどパーっと使いたくなり、怠ければ怠けるほど金遣いは加速する。その在り方、某ギャンブル漫画に登場する主人公の如く。
現に下界に降りて暫くヘスティアは親友の好意に溺れてだらけ切った生活を送っていた。そう、某化物パチンコ攻略後、家を追い出されるまでダラけ続けた主人公の如く。
しかし、あっちのクズと違ってこっちのクズは親友に追い出されたことに懲りてそれなりに真面目に生き、クズ脱却を果たそうとしている。だからこそ、過ちの後に改めて差し出されたお金に手を付ければまたクズに戻ってしまうのではないかという恐怖がヘスティアを真綿で締めてゆく。
「ああ、これを使えば今晩は初眷属の門出を華々しく迎えられるのに……ご飯も装備も揃えられるのに!でも、手を伸ばすと過るあの日の悪夢!!ヘファイストスが僕に向けた養豚場のブーブ君を見るような眼が脳裏にありありと蘇る……お金を使うのがこんなに怖い事とは!こんなことならお金なんて求めなければよかったのに!」
「神様、もういいです!もういいんです!僕は多くを望みませんから……慎ましくても暖かければそれでいいですから――!!」
「あああああベル君っ!」
「おおおおお神様っ!!」
絆を確かめあうようにひしっ!と互いを抱きしめる神と人。オラリオ広しと言えどここまで極貧な絆の深め合いもそうそう見受けられないだろう。と――教会の玄関ががちゃっと開く。
「おいーっす、こんばんはヘスヘス!眷属出来たって聞いたからメシ誘いに来たよー?」
――『死』――。
何故か、教会に流れ込んだ冥界よりも冷たい霊廟の風と共にそんな言葉がベルの脳裏を過った。
「ぎゃあああああああああああああああ!!ししししし死神ぃぃぃぃぃぃぃ!!」
「ぎゃあああああああああああああああ!!おおおおお金持ちぃぃぃぃぃぃ!!」
「折角祝いに来たのにどんなリアクションだよそれ!?」
オラリオに舞い降りた告死天使は、恐ろしさの余り更に激しく抱き合う二人にそうツッコんだ。
= =
「長年の禁欲生活で追い詰められた身体に……キンッキンに冷えたソーマ……ぅぅ、うますぎる……!犯罪的だっ……!!」
「神様!!また顔が鋭角的にっ!!」
「あ、ベルくんはこっちのフルーツティーね。一応牛乳とかジュースもあるよ?」
「遠慮なくタダメシ喰らいやがっていってくださ〜い♪他のクソ野郎どもならともかくヘスティアとその眷属なら歓迎してやりますよ〜!」
ポロポロと涙をこぼしながら酒を煽る今日の彼女は賭博黙示録系女子らしい。
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