16.Remember Days
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を誤魔化すためにSATSUGAIする気!?」
「いやいやだから……君のお母さんの中にいる悪性腫瘍を殺すんだって。病状改善したいんなら悪性腫瘍は殺しておかないとねぇ。コイツらって若干ながら命の摂理に反してるし」
栄養さえ提供されればテロメアの限界を超えて無限に増殖する人類の天敵、癌細胞くんを殺さない限りこの人に明日はない。いや、明日の要らない俺が言うのもおかしな話だが、気配的にこの人の癌は全身に転移している。かなり切り刻まないと完治は無理だろう。
「本当にソレで斬るの!?息の根止めちゃわない!?ちゃんと五体満足かつ魂インストール済みで戻ってくるんだよね!?後になって魂だけ寄越されても何一つとして解決にはならないからね!?」
「ゴチャゴチャ言わない!大丈夫だよちょっと真っ二つになってもエリクサーで元通りにしてあげるから!!」
「だいじょばない!全然だいじょばない!!」
『死望忌願』と重なった俺の影が、床に深く濃く伸びてゆく。
光源のせいか上になればなるほど大きく光を遮る影は、巨大な鎌を更に巨大に変貌し――泣き叫びながら掴みかかる男を意にも介さずに得物を見下ろす。
「やめろ!!やめ……やめてくれぇッ!!俺の、俺のたった一人の――!!」
「だから、巣食われし者を救ってやろうと言っているだろう?」
選定の鎌は、若者の母親の身体をベッドごと、斬り裂いた。
「ありがとう!おかげで母さんは病巣だけを綺麗に殺されて助かったよ!だから二度と来るなよクソッタレ野郎!!」
「満面の笑みで絶縁宣言叩きつけられたのは初めての経験だよ……」
「ごめんなさいね、この子ったら人見知りが激しくて……許してあげてね?」
「あぁ、別に構いませんよ。お身体の具合も悪くはないようで何よりです」
若者は余程怖かったのかまだ若干足が震えている。反面、寝ていた母親の方はベッドの上から朗らかな笑みでこちらを見ている。病魔との戦いで大分やせ細ってはいるが、ちゃんと安静にしてれば体力は戻るだろう。
冷静になって振り返ってみれば怖いわな。絵本に出てくる死神を100倍おっかなくしたような奴が鎌を掲げて母親に振り下ろそうとしている訳だし。だがあの鎌はあれで刈り取る対象を自由に選べるスゴイヤツなのだから、怖くても我慢して欲しいもんだ。
「しかし、不思議ですね」
「と、いうと?」
「ベッドの上から人伝にしか聞いていませんが、貴方は『告死天使』と呼ばれているのでしょう?なのに、貴方は現に私を生かしている。確かに貴方からは冷たい気配のようなものを感じるけれど、そんなにも恐ろしい人には見えないわ」
「か、母さん……」
そういう風に言われることは珍しくもない。自分で言うのも変だが割とノリは軽い方だと自負しているし、ロキ辺りになるとア
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