第九章 全ての始まり
第2話 過程
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取り、どこか不明瞭な場所を見つけ、書き換える。
それが″普通″のやり方だ。
もちろん柑果にもそういうやり方で教えられる。
しかし、″感じ取る″ことができる柑果にはそれはまるで意味を成さなかった。
その理由は、なぜ柑果が感じ取ることが出来るのか、に繋がってくる。
共感覚とサヴァン症候群
柑果は、この二つの感性間知覚を所有していた。
共感覚とはある刺激に対して通常の刺激だけでなく異なる種類の感覚を生じさせる一部の人に見られる特殊な知覚現象。
例えば文字や音に色を感じたり、形に味を感じたりする。
同様に数字を色や物で感じることができ、計算する時も、例えば7+8だとすると、7の色と8の形が合わさって15の模様が見えるから答えは15だ、といった風に計算式を書かなくてもそれを一瞬で判断し、計算することができる。
サヴァン症候群は、ごく特定の分野に限って優れた能力を発揮するもののことを指す。
この症状には様々な例があるが、柑果の場合は膨大な量の書籍を一回読んだだけですべて記憶し、さらにそれを逆から読み上げる、という常軌を逸した記憶力を持っている。
勿論覚えることが出来るだけで理解はできない。
単語は知ってるけど意味は分からないというのと同じことだ。
しかし、その知識があるだけで理解するのに時間は掛かりにくい。
ゆえに柑果は″感じ取る″ことができるので、全ての単語を理解する必要もない。
だけど。
つまり。
彼女は理解はしなくとも。
文学、計算、理論、そして実践。
全てにおいて、ずば抜けた能力を発揮したのだ。
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三年後のある日。
年に一度の実践発表会が行われた。
内容は至ってシンプルで、自分で考えた理論のもと、オリジナルの魔法を発表するというものだ。
参加は自由。学校生活で一度も参加しなくても卒業は出来る。
それに多くの会社の企業のお偉いさんが見に来るので(プレッシャーや緊張からか)殆どの生徒は参加しない。
ただし、参加すれば実力が評価されるし、直接魔法を見ているので自分の企業の研究に役立つ生徒を見つけやすい。
よって生徒にとっては仕事先も見つけやすい。
それに、最優秀者には海外留学の権利も得られる。
今年の参加者は計17名。全校生徒が479名なので全生徒の約3.5%しか参加していない計算だ。
それでもオリジナルの魔法を作るというのはかなり難しく、さらにこの場に立つ度胸がある者を除けば17名というのはそこそこ多い計算になる。
イメージとしては中高一貫の学校で生徒会に立候補するようなものだ。
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