機動戦艦ナデシコ
1260話
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えっと……こいつは確か……
目の前で俺に銃……拳銃を突きつけている男の顔を見ながら、名前を思い出そうとする。
その特徴的な髪型から考えると、どうしてもキノコという単語が思い浮かぶ。
それだけが印象強い為、名前が思い出せない。
「確か、連合軍から出向してきた……」
「そうそう」
「キノコ?」
「違うわよ! 失礼ね!」
俺の言葉に顔を真っ赤にして叫ぶキノコ。
確かプロスペクター辺りに名前を教えて貰った気がするんだが、全く思い出せない。
「ムネタケ提督よ、ムネタケ提督」
拳銃を持ったキノコ……ムネタケから離れるような場所にいたハルカが、小さな声でそう告げる。
だが俺の近くではなく、離れた場所からのアドバイスだけに、当然ムネタケの方にもその声はきっちりと聞こえていたらしい。
顔を赤くしたムネタケが、苛立たしげに叫ぶ。
「私の名前を覚えてないなんて、失礼な! ……いえ、どのみち貴方は連合軍で洗いざらい自白させられるんだし、ここで怒ってもしょうがないわね。……もう分かってると思うけど、貴方を捕まえさせて貰うわ。言っておくけど、助けを求めても無駄よ? ほら」
ムネタケの視線の先の映像モニタでは、ブリッジにも兵士が雪崩れ込んでいる様子が映し出されていた。
「ありゃりゃ」
ハルカの緊迫感のない声。
それが余計に腹立たしかったのだろう。ムネタケは苛立ちの篭もった視線をハルカの方へと向ける。
「いい事!? こうなった以上、もうあんたに出来る事はないの! 大人しくあのロボットを連合軍に渡して、あんたの裏にいる者達の情報を喋るしかないのよ! 少しは殊勝な態度を見せてみなさい!」
これ見よがしに銃口を向けてくるムネタケ。
……さて、どうしたものか。倒すだけなら銃を持っていようとなんだろうと、どうとでも出来る。
それこそムネタケの背後に控えている兵士達はサブマシンガンを持っているようだが、そもそも俺に物理攻撃は無意味だ。
けど、そうなると……
視線を俺の背後にいるハルカに向ける。
ムネタケや兵士達が手当たり次第に銃を撃った場合、下手をすればハルカに銃弾が命中する可能性が高い。
だとすれば、ハルカのいない場所に行ってから何とかした方がいい、か。
それに、俺がどんな手段でこの場を切り抜けるにしろ、それを見る者は少ない方がいい。
「分かった。ただ、用事があるのは俺だけだろう? なら、ハルカは関係ないな」
その言葉にムネタケは、多少引き攣りながらも笑みを浮かべて手を振っているハルカの方へと視線を向ける。
一般人でもあるハルカだが、この状況でもまだ余裕を見せているというのは人並み以上の度胸だ。
確かナデシコに乗る前は社長秘書をやってたって話だっ
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