前編
7.提督だったら……いいよ
[3/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
!」
よし。確実にやって欲しそうな感じだな。
「いや、昨日耳がぞわぞわするってお前が言ってたからさ。だったら試しにやらせてもらおうかなぁと思ったんだけどな」
「うう……た、確かに球磨の耳は今、ぞわぞわしているクマ……」
「嫌がってるお前に、無理矢理やるわけにもいかないもんなぁ……」
「……」
「……俺の耳かきテクニックと、とっておきの耳掃除用ローションを駆使した、それはそれはキモチイイ耳掃除なんか……さ」
「……?!」
クックックッ……妖怪アホ毛女のアホ毛が悔しさと葛藤でピクピクしている……こいつは今、戦っている。実験台はイヤだという気持ちと、それでも耳掃除をしてもらいたいという己が欲望のせめぎあいの渦中に、こいつは今いるのだ。
「ク……クマ……」
「……やってみるか?」
「……うん」
妖怪アホ毛女、陥落。
俺は球磨を来客用のイスに座らせて待たせた。そして居住スペースに一度ひっこみ、新品の耳かきと綿棒と箱ティッシュ、そして愛用の耳掃除用ローションを持ってきて、球磨の右隣に座った。
「クマ?」
「お?」
「なんで球磨の隣に座るクマ?」
「だってそらお前……耳掃除って言ったら膝枕じゃないの?」
「普通、逆クマ。女の子が男の子に耳掃除してあげるのが普通クマ」
「お前の口から普通だなんてセリフが出てくるとは思わんかったな……」
確かに言われてみれば野郎が膝枕で女の子の耳掃除っつーのもちょっと変というか……
「ま、まぁいいクマ」
あんなに躊躇していたはずの球磨が、唐突に俺の膝に自分の頭を預けてきた。少しほっぺたが赤くなってる気がするのは、俺の気のせいなのだろうか。
「照れてる?」
「あとで張り倒すクマッ!!」
「はいはい……」
もふもふの球磨の髪を耳にかけてやり、球磨の左耳を露わにする。耳そのものはキレイなものだが、やはり少し耳垢がたまってきているようだ。
「それじゃいくぞ〜」
「クマッ」
とりあえず、耳かきで球磨の耳の中を探ってみる。耳かきで触れていくと、やはり少し溜まってるみたいだ。酷いというほどではないが、やはりこれでは少々かゆいだろう。
「耳掃除けっこうやってなかったのか?」
「そうクマね。自分じゃめんどくさくて中々やらないクマ」
「北上にやってもらえばいいのに……」
「北上もめんどくさがりだからあんまりやってくれないクマ」
耳垢をカリカリこすっていく。途中、ちょっと引っかかった部分があった。どうやら皮膚と耳垢の境の部分のようだ。
「痛かったら言えよ〜」
「了解だクマ〜」
程々に力を加えつつ……でも決して必要以上に力を入れず……少しずつ隙間を広げていく。手元に伝わるパリッパリッという手応え。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ