15.誰ガ為ノ虐殺
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爆発音も、数秒間木霊したのちに静寂にかき消された。
= =
『いつもウチの子と遊んでくれてありがとうね?リージュちゃん』
『い、いえいえいえ!!むしろありがとうはこっちな訳で!!あ、あの!アキくんとはいつも優しいし頭もいいし、とにかくそうなんです!!』
『ウフフ……女の子に想われるなんてあの子も幸せ者よね!それもこーんなにかわいい子に!』
『はわわわわっ!?だ、だっこは止めてくださっ、ああー!』
その人はとても母性的で、美しく、深い慈しみの心を持っていると一目でわかる人だった。
美しい金髪も美しい金目も見惚れるほど輝いていて、こうして突然抱きかかえられても全然いやな感じがしない――そんな人だった。
『………ねぇ、リージュちゃん。一つだけ、約束してくれないかな?』
『……?ど、どうしたんですか?まさかアキくんに何か!?』
『何か……かぁ。あながち間違ってないかな』
一瞬だけ悲しそうな顔をして、あの人はまた微笑んだ。
『もしもその『何か』が起きても、ずっとあの子を見ていてあげてくれない?あの子のいいところも、悪いところも、時々涙を堪えきれずに悲しんでいるところも――友達として、ずっと見ていてくれない?』
『え………それ、私じゃなくてもご自身で出来るのでは……?』
『今は、ね。でもあの子だっていつまでも子供のままじゃいられない時が来るかもしれない。私の目から離れたいと自分で願うときもあるかもしれない。だからその時は……ね?』
意味は分からなかった。でも、とても大事な話をしているのだという意識はあった。
それに、当時のわたしは――今も完全に否定はできないが――アキくん大好きっ子だったから、考えなしにこくこくと頷いた。
それを見たあの人は心の底から安堵した様にほっと一息をついて、わたしのことを抱きしめた。
今になって思えば、あの人は知って言うたのかもしれない。
アキくんがいつも自慢していた父親が、―――、――――――。
―――。
―――。
「――……………」
不意に、ぼやけた視界が薄暗い空間を見上げた
地面が硬く、土臭い。まるであの日、彼に振り払われたときの雨に濡れた石畳のようだと思った。
体の節々に鈍い痛みと倦怠感が襲い、瞼を開けることさえも億劫だった。剣を握る両手にはガントレットの感触がなく、首の下には丸めた布のようなものが挟まれている。
ここは、どこだろう。
いまだ意識が微睡を抜け出せないまま、わたしは小さな疑問を抱いた。
ホーム、ではないのは確かだろう。ホームに土のベッドなんてない。
では、どこだ。体が怠くて、土の臭いがして、冒険者のいる場所。
どこか他
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