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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
15.誰ガ為ノ虐殺
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した光景は、身も心もボロボロになった彼らの大切なものを崩していく。プライドとか自信とか、そのようなアレを。

 どうやらファンガス変異種は凄まじい速度で魔石を分裂させる特性があったものの、魔石分裂によって個体の力そのものは弱まるらしい。それでも倒された魔物の魔石を回収して個体能力を取り戻す厄介な性質があったようだが、ドナとウォノの敵ではない。

 一方、一通り厄介な魔物を始末し終えたヴェルトールは数だけ多いファンガス変異種の処理を二人に頼み、自分はボロボロの『エピメテウス・ファミリア』に無料でポーションを配っていた。

「いやぁ、創造主より強いから喧嘩すると負けるんだよね〜……あ、ポーション飲む?」
「えっと、いただきます………ってアレ、なんか瓶が小さいんですけど」
「濃縮ハイポーションだから少量でも効くんだぜ」
「ちょっ、メチャクチャ高級品じゃないのぉッ!?」
「ほかのみんなもご一献どうぞー!これ全部オーネスト用のだから今日のコレはオーネストの奢りだぜ〜〜!!」
「自分の懐にダメージがないのをいいことに大盤振る舞いし始めたコイツぅぅぅーーーッ!?」

 ちなみに濃縮ハイポはアズが手作りしたアイテムである。本人曰く「小型化を目指した結果コストダウンに失敗したので原材料費が高い」とのことだが、「市場のハイポーションより高い」のではなく「現地調達できない材料に金をかけたから高い」のであって、原価はハイポ以下である。
 加えるなら、ハイポーションをさらに濃縮したらそれはもう簡易エリクサーのレベルだ。そんなものを調合できるくせに薬の作成は趣味でしかないのだから、全国のポーション調合師は泣いてもいいと思う。

 しかし、ポーションを受け取ったり遠い目をしながらも隊列を崩さない彼らの生真面目な『エピメテウス・ファミリア』の団長はどうなっているのか。ヴェルトールは後ろを振り返れない彼らの代わりに背後に広がっているであろう惨状を確認しようとして――耳障りな羽音に顔を顰めた。

「オーネストの方は………――っと、お邪魔虫がいるな。お前さんはお呼びじゃないよ?」

 ヴェルトールの左手に握られたジャマダハル・ダガーがぶれる。
 その直後、上方から飛来したデッドリー・ホーネットがバラバラに『解体』されてボトリと地面に落ちた。眼球、触覚、羽、胴体の節、足、そして毒針に至るまでが丁寧にバラされ、そのまま持ち帰って組み立てれば標本になるほどに無駄な破壊がない。

 片手間で手遊びをするように惨殺死体を作り上げたヴェルトールの手には――いつ、どのタイミングで抉り出したのか魔石が握られていた。

 その異常性に、ファミリア達は戦慄する。

(これが『ゴースト・ファミリア』………今の一瞬で殺したのか)
(違う、殺したんじゃない。『遊んだ
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