14.氷獄領域
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り舌が――上顎ごと一撃で両断されて宙を舞う。
その瞬間、左右を数十にも及ぶウルフ系の魔物が凄まじい速度で駆け抜ける。普通に冒険するだけでも十分な脅威たりうる暴食の獣達をこのまま放置すれば、連中は後方で援護する投射隊に牙を剥くだろう。
――が、その行動自体は読めている。
「凍てつけ………『氷造』――アッパーニードルッ!!」
魔力で生成された氷槍が無数に地面から突き上げ、魔物の無防備などてっ腹を正確無比に刺し貫く。
「ギャウッ!?グギャァァ……―――」
飛び散る鮮血すら瞬時に凍り付く冷気に、獣の断末魔さえも凍てついた。
ダンジョンに胴体を貫かれた獣の氷像がずらりと立ち並ぶ。
地獄――ふとそんな言葉が頭をよぎるような、残虐な光景だった。
その、隙間を。
通り抜けようと疾走した白装束の男の喉を――虚空を切り裂いた氷柱が貫いた。
一撃で喉を潰され、瞬時に血液は凍結し、衝撃で首がぼきりと折れた。
確かめるまでもなく、即死だ。
人間を殺した――とは考えない。何故なら、これらは『既に人間ではない』から。
ドナからのヒントを覚えていれば簡単なことだった。最初の一人を即死させずに服を割くように斬り裂いてみれば、その胸には魔物を象徴する魔石が埋め込まれていたのだ。すなわち、この白装束達こそが『魔物人間』と呼ばれる存在なのだとすぐに気付くことができた。
まだ魔物人間とは何かが分からない。だが、少なくとも相手がすでに人間と呼べない存在であるのならば、手加減も容赦も必要ない。どちらにしろファミリアに害を為すのならば殺害もやむなしとは思っているが――それでも、多少は罪悪感を和らげてくれる。
白装束は、魔物と仲間が氷像になり果てる光景にさしたる感傷も抱いていないかのように平然としていた。それもそうだろう――既に彼女の周囲には、一撃で殺された魔物と白装束で屍山『氷』河が築かれているのだから。
「……ふむ、その反応速度は流石だと言っておこう。だが、果たしてお前の魔力はあとどれほど持つのかな?これ以上の魔物の発生を防ぐために『周囲一帯のダンジョンの壁を凍結させる』とはさすがに予想外だったが、結果として計算よりを力を消耗させる過程を短縮できた」
「これで計画を大幅に短縮し、奴をおびき寄せる。『彼女』の憂いは我らが絶つ」
「その為に――最初の生贄を捧げる必要があった」
淡々とした喋り方が余計に癪に障るが、向こうの思うとおりに事が運んでいるのは事実だった。
このオラリオでリージュだけが実現可能な方法――発生源であるダンジョンそのものを凍結させて魔物の発生を一時的に封じること。現在、『エピメテウス・ファミリア』の周囲に存在する魔物の発生源たりうる部分は
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