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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
14.氷獄領域
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その特殊な形状から繰り出される変則的な攻撃だ。本来ならばそれに加えて待ち伏せ型の擬態性を加えなければいけないが、この乱戦の中では待ち伏せも何もあったものではない。歩行可能な植物型魔物の波状攻撃に、ファミリアたちは段々と動きに精細さを欠き始める。

 樹木型魔物のミドル・フルオンの馬鹿力と耐久力。
 蜂型魔物のデッドリー・ホーネットによる一撃離脱の速度。
 茸型魔物のファンガス変異種による胞子分裂。

 開戦当初こそ植物以外のリザードやゴブリンなどが見られたが、第一波を全滅させたタイミングで別の白装束がフルオンを引き連れ乱入。更にはファンガス変異種が後方に陣取って空間を埋め尽くしてくる精神的圧迫を加え、さらには乱戦のせいでデッドリー・ホーネットへの迎撃が間に合わずに毒針を防ぐので精いっぱいだった。

 攻城隊の強固な盾と鎧にミドル・フルオンの拳が叩き込まれ、凄まじい衝撃に揺さぶられた隊士が悲鳴を上げる。

「ぐおおおおおおおッ!?と、投射隊!!援護はまだかぁッ!!」
「無茶言わないで!こんな物量を押し付けられたら魔力が持たないってば!!」
「慌てるなッ!!投射隊は速やかに前方2時の方角にいるフルオンに集中攻撃せよッ!!私は引き続き退路確保に動く!焦らずに行けッ!!」

 投射隊の攻撃はこのような乱戦の中では非常に強力だが、同時にどこに打っても当たるために消耗の加速が顕著になる。相手にするターゲットがあまりにも多すぎて攻撃が追い付かないのだ。更に攻城隊の上を潜り抜けて奇襲を仕掛けるデッドリー・ホーネットの迎撃に遊撃隊が駆り出されるために射線の確保がシビアになっている。

 結果、本来なら遊撃隊がするはずだった「隊後方の守り」と「退路確保」の仕事をリージュが一手に請け負うことになってしまった。最大戦力である彼女が正面に攻め込みたいところだが、そうはいかない事情があった。

 隊の後方を、魔物を引き連れた白装束に陣取られた。
 今、リージュは思うように身動きが取れない。その理由は言うまでもない、唯でさえ前方を塞がれて疲弊したファミリアたちが後方から攻撃を受けたら戦線を立て直せないからだ。

「『エピメテウス・ファミリア』の『酷氷姫(キオネー)』――お前を殺せばオラリオに少なからぬ影響が出る」
「貴様がファミリアの新人達を引き連れて実地訓練をしていることは調査済みだ。そして連れている新人たちがレベル1〜2程度の『足手まとい』であることもな」
「故に、入念な準備をすれば貴様を逃げられない状況に追い込むことなど容易い。――そう、ファミリアを人質にしてな」
「………よく回る舌だな。そんなにも削ぎ落して欲しいのなら削いでやろうかッ!!」

 深く構えた刀を刹那の間に抜き放ち、白装束の喉元を容赦なく狙って引き裂く。
 宣言通
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