13.死者の望んだ戦争
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――そういえば、と彼女の親となった存在のことを考える。
(無機物に意志を吹き込む………それは、神の理に触れる創造のチカラ。『人形師』の所属する【アルル・ファミリア】は工芸専門のファミリアだって聞いたことがあるけど、戦闘可能で自我を持つ上に主に背いて単独行動する自立人形なんてあり得るの……?)
もしかしたら――自分はとんでもない真実を見つけてしまったのかもしれない。
そんな思考を、彼女は無理やり頭の隅に追いやった。
数時間後、戦いの準備を終えた『エピメテウス・ファミリア』が宿の前に集合した。
「今日は22階層まで遠征する。何か、言うことはあるか?」
「攻城隊、装備品及び隊員のコンディションに異常なし。いつでも行けます」
「こちら遊撃隊、右に同じ」
「投射隊はもう待ちきれません!」
「では出発する。行先では突然変異の魔物の目撃証言もあるが、指示があるまで隊列を崩すことは許さん。――では、出発!」
誰に号令されるでもなく自然と軍靴のリズムが揃っていく。
ファミリアは終えには出さずとも、自分たちの日常――いつものリージュ・ディアマンテ団長が戻ってきたことに安堵の表情を浮かべる。今日は異物もいない。変化のない、安定した日常が戻ってきた。
ファミリアは順調に勝ち進む。
リージュの飛ばす鋭い指示に従って能動的に動く各部隊。魔物撃破による収入の回収を待ちながら、先ほどの戦いの問題点を指摘しては罵倒するように指摘し、ファミリアは震え上がりながらもそれに従う。
流石にこの階層まで来ると苦戦することも増えたが、命がけの環境が神経を研ぎ澄ませてミスを減らしていく。何もかもが順調な戦いだった。
と、思っていたが――実はそうでもなかった。
《ねぇねぇ、なんかリージュってウチらに話して来た時もだけど、オーネストと話した時もちょっと喋り方が違ったよね。何で〜?》
(ちょ、ちょっと!話しかけられたらドナがいるってバレちゃうから!)
《ヘンなの………ニンゲンっていろんな顔があるよね。フシギぃ》
その声は、リージュの私的な荷物が収められたカバンから漏れ出ている。
団長特権で持つことを許されたそれは、前線で緊急を要する事態のためにポーションや対魔物アイテムが詰められているのだが、今日はそこに一人お客さんがいた。
そう、片翼の天使人形――ドナだ。
なんと、未だに帰らず付いてきているのである。主のもとに戻らないのか、と質問しても「あっちにはウォノがいるからダイジョーブ!」という。何が大丈夫で、そして本当に大丈夫なのかが全く理解できない。
《まぁまぁ!どーせそのうちマスターが迎えに来るし、それまでイッショにいよう?》
(………どうして、見ず知らずのわたしをそこまで気に掛
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