12.ツインドール
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によって命を吹き込まれた自立人形だという。確かにそのような話を聞いたことはあるが、人形を使う姿を見た人間がほとんどいなかったせいでその姿は知られていないようだ。ヴェルトール自身、見せびらかすものではないとあまり他人に見せていないという。
(嘘をついている気配はない……多分、勝手に抜け出してきたというのも本当よね。彼の魔法の性質を盛大にバラしてるし、精神的には幼いんだ)
『タケミカヅチ・ファミリア』の人のような極東特有のしゃべり方をするウォノは、思慮深く慎重な性格のようだ。右肩にだけ生えた翼に関しては、主であるヴェルトールが芸術性を持たせるために作ったもので飛べる訳ではないらしい。
対照的に、まさに子供のような無邪気さを見せるドナは思いついたら即実行と行動的だ。頭が悪いわけではないようだが、どこかゆるくて感情に身を任せる雰囲気がある。ウォノと対になるように左肩から美しい羽根を伸ばしている。
二人とも子供っぽい外見をしているため、それほど戦闘能力を持っているようには見えない。しかし、二人の体には若干ながら魔物の血がこびりついていた。ダメージを負ってはいないが、本当に戦っていると考えるべきだろう。
なし崩し的に近づいてしまったが、もう二人には自分の弱さを見られているので今更隠しても意味はないだろう。それに、既にこちらも『人形師』に対しての貴重な情報を得ているのでおあいこだ。
何より、無機物でありながら人間と同等の意思を持った人形に純粋な知的好奇心をそそられた。
(決して可愛いから口をきいた訳ではない決して可愛いから口をきいた訳ではない………よしっ)
軽度の自己暗示と理論を用いて自己弁論という名の言い訳をしたリージュは改めて二人に向かい合う。できるだけ、優しい口調で。
「それで、二人はどうしてそのご主人様から離れてわたしの所に来たの?」
『あのね……お姉さんに会ってイライ、オーネストにゲンキがないの。あんなに落ち込んでるオーネスト、初めてなの』
『故に我らは原因を知りたくなった。おーねすと殿の様子がおかしくなったのは……りーじゅ殿と出会ってだから』
早速、言葉に詰まった。
それは、問題の最も触れ難い核心を突かれたから――ではない。
ああ、他人から見てもわかるくらいに、彼は……オーネストと名乗る彼は、わたしのことを未だに恨んでいるんだと思ったから。だから彼の様子がおかしいのは、ある意味では当たり前のことでしかない。
『二人の間には何があったのだ?』
「ごめん………他人に話すようなことじゃないから教えられない、かな」
『………話したくない、の間違いじゃない?』
「ごめん………ごめんね。わたし、皆が思ってるほど立派な人じゃないの。でもその立派じゃないところを口に出すと、もっと駄目にな
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