12.ツインドール
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「ッ!?誰だ!?」
咄嗟に腰に差した『村雨・御神渡』を抜こうと居合の構えを取り――利き腕の右手がすかりと空を掴む。
……そういえば、手入れのために武器は自室に置いてきたのだったことを思い出す。普段ならせめて予備の刀くらは持っておくのに、どうやら彼との予期せぬ再開に想像以上に心を揺さぶられていたらしい。
だが、剣がなければ戦えない訳ではない。『絶対零度』は徒手空拳でも発動する最大の武器だ。姿の見えない敵を探りながら、腰を落として掌の力をだらりと抜いて『居合拳』の構えを取る。
が、次の瞬間彼女が視界にとらえた相手は、あまりにも戦いと不釣り合いな二つの小さな姿だった。
『あ、ちょっとランボウしないでよ!?ウチ、イアイケンなんか食らったら割れちゃうからぁ!!』
『むむむ、暗所で突然話しかけた不躾は謝罪しよう。だが拙者たちは別段悪意あってそなたに近づいたわけではない事は理解してもらいたい』
それは人間の子供にしても小さいにもかかわらず、子供にしては人として完成したシルエットをした70セルチほどの姿。片方は不思議な模様のハチマキで長い髪をまとめた紅色の髪の女の子……もう一人は同じ模様のリボンで髪をポニーテールにまとめた、淡蒼色の髪の男の子だった。
二人ともまるで人形のように可愛らしく――そして、その背中にはそれぞれ片翼の天使の羽が伸びていた。寄り添うように手を取り合う姿はどこか幻想的で、リージュは異常事態にもかかわらず二人に釘付けにされた。
「え……っと、君たちは、何?」
『申し遅れました。拙者、創造主であるう゛ぇるとーる様に命を吹き込まれた自立人形のウォノと申すものです。以後、お見知りおきを』
『ウチはねー?ドナっていうの!!ねね、オトモダチになって?なってよ〜いいじゃんよ〜!』
(……………………………………………かわいい)
――二人を自室に招き入れたのは、果たして気まぐれなのか毒気を抜かれた所為か。
『素のリージュってアンガイフツーの喋り方なのねー。カタクルシー喋り方よりそっちの方がオンナノコっぽいよ〜?』
「………女の子っぽくしてるとね。余所のファミリアとか部下に軽く見られちゃうのよ。だから女らしいのは見た目だけ。私みたいな若いヒューマンがこの街で強く生きるには、そうするしかなかったの」
『ううむ、哀しくも難しい話ですな……人は得てして外見や種族の物差しを過信しすぎると主もよく申されておりました。主も一人前になる前は「猫人間に芸術が創れるのか」とからかわれたと聞き及んでおりまする』
可愛らしい人形二人に愚痴のような話を聞かせる今の姿は間違っても部下には見せられないなぁ、とリージュは内心で呟いた。
落ち着いて話を聞いてみると、二人はあの『人形師』の魔法
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