10.『死』の喚起
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『告死天使』という名は、他人に勝手につけられたものを再利用しただけだ。
チェンバレットの姓は、オーネストがいい加減につけたもの。
つまり俺の名前というのは他人によって勝手に構成されており、別にハデスでもタナトスでも閻魔でもない俺自身は他人に死を告げない。俺が死神とか告死の者とか呼ばれているのは大体『死望忌願』の所為である。
あの厄病守護霊的アンノウンめ。いくら俺の一部にして戦闘能力の塊とはいえ容赦せん。サウナとか入って体を虐めてやる。……や、効果はなさそうだけどね。
しかし、死を呼ぶと噂されるのは何も俺だけとは限らない訳で。
「ふーん、『死妖精』ねぇ………物騒な仇名だ」
「え、ええ………というか、貴方が言いますかそれ?」
「そいつはご尤も。まぁそれは置いといて……その仇名の由来の一部になったのも、そのオリヴァス氏の起こした事件って訳だ。なるほど、貴重な話が聞けて良かったよ」
大通りの喫茶店で黒髪エルフのフィルヴィスちゃんから話を聞き終えた俺は、静かに紅茶を呷った。
さて、俺がこんな場所でエルフの子と茶をしばいているのは、別にナンパに目覚めてお姉さんを口説いたからではない。貴重な話を聞かせてもらいたかったが為に少々無理を言って誘ったのだ。
……あれ、これってある種ナンパと変わらないんじゃ?
まぁいっか。オーネスト曰く、「事実は一つしかないが、真実は人の数だけある」だ。俺にとっての真実は「別にナンパしてないもん」で確定だ。うーん、あいつはいい言葉を知っている。流石はヤクザの癖にインテリ……つまりインテリヤクザなだけの事はある。
(……マジで前世が極道とかないだろうな?ヤクザでも友達やめる訳じゃないけど、信じてるぞ?)
オラリオで一人仁義なき戦いを繰り広げた男なだけに否定できなかった。
ともかく現時点に到るまでの経緯について触れておこう。
その日、昨日にあった22層の事件を申し訳程度にギルドに報告した俺は、驚愕するエイナちゃんをよそにギルド代表のロイマンさんに会いに行き、金で頼んで資料を探らせてもらった。6年前、27階層で何が発生したのか……そして、オーネストとあのオリヴァスとかいうサバト野郎の関係を探ろうと思ったからだ。
「んー……つまり27階層の悪夢ってのは、この街の暗部が起こした史上最大規模の『怪物進呈』を、しかも上手いこと有力ファミリアを誘導したうえで階層主の部屋で実行したわけね。よくもまぁ……」
「ええ、大それたことをしたものです。公式に事実確認はとれませんでしたが、それを実行するに当たって人質から偽情報の流布までかなり悪辣な手段を使っていたと思われます。この街で起きた人為的な事件としては最大規模ですよ」
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