9.紅の君よ、呪われてあれ
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ー、悪い。この鎖、普通じゃねえんだわ。触りすぎると生命力削られるから気を付けろよー」
「生命力……鎖……そしてこの余裕。貴様、まさか………」
――虚空から現れて魔物を貫く鎖。
――いついかなる時も余裕を崩さない超越的な姿。
そして、部屋を乱れ飛んだ鎖から感じられる、冥界のように冷たく深い『死』の気配。
鎖を通して感じる。魔物たちが、この神を由来としない暴力に戸惑いを覚えている。
これほどの『死』、これほどの力が指し示すような冒険者は、ただ一人しかいない。
「そういうことか……貴様、『告死天使』だな!!サポーターにしては荷物が少ないし、護身用の武器すら持っていなかったことをもう少し疑うべきだった……!!」
「何もかも一方的な御仁だねぇ………というか、その仮面なに?ヤギの頭蓋骨?」
サバトでもすんの?と意味不明なことを質問する男の正体を、やっと『白づくめの男』は理解する。
住みながらにしてオラリオに忌避される二大異端者が一人、アズライール・チェンバレット。
この街の要注意人物の一人――別名を『死神に近しき者』。
一時期は『こちら』に引き入れられないかと検討したこともある男だ。
表も裏も、等しくアンタッチャブルとされる存在――だからこそ、可能性はあった。
だが、同時に『白づくめの男』は決定的なまでに「この男は無理だ」とも思っていた。
アズライールの名は、神に送られた二つ名そのもの。
そして、チェンバレットの姓は――忌まわしきあの男より受け取った物。
この男の名前は、自分が世界で1番嫌いな要素と、2番目に嫌いな要素を含んでいる。
「ということは……貴様と共に来たという男はオーネストか!!あの忌まわしく穢らわしい血がここに……!!」
「――誰か俺の事を呼んだか?」
直後、壁が猛烈なパワーで吹き飛ばされ、一人の冒険者が現れた。
全身を返り血の真紅に染め上げ、手に握った剣には腹を貫かれて絶命した男が刺さったまま引き摺られている。歩くたびに死体の腹の傷が抉れていくが、オーネストは全く意に介していない。
「おい……おいオーネスト。………参考までに聞くけど、その最高に悪趣味なオブジェはなんだ?」
「殺した得物だが。それより見てみろこいつ、胸に面白いものが埋まっているぞ」
まるで塵を捨てるように剣を振り、死体は飛ばされてアズの足元に転がる。
それを覗きこんだアズは、おお、と驚愕の声を上げた。
そこにあるのは、真っ二つに裂けた輝石。
「胸に魔石が埋まってやがる………こりゃ種族的には人間というより魔物だな。俺は詳しくないんだけど、これって人間に似た魔物ではなく元人間で間違いないの?」
「多分な。意志は脆弱で、縋るだけで考える事はない。典型
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