9.紅の君よ、呪われてあれ
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どうしようもなく不器用で、例え負けていると頭の中で分かっていても絶対に認めないくらいに頑固者。死んで生まれ変わってもそのまんまもう一度同じ道を歩んでしまうほどに、逃げないから。
――だから、あいつと戦い続けられるのは、きっとあいつ自身を置いて他にはないだろう。
「お前も大変だな。過去の自分とにらめっこかよ」
「………唐突に人の心を覗くんじゃねえ、死神モドキ」
「流石はアズ様!オーネスト様のこと粗方見透かしてやがりますね!同じ穴のムジナって奴ですか?」
オーネストの若干悔しそうな顔をしている所を見るに、大正解だったようである。
うむ、今日も絶好調でメリージアの飯が美味い。
= =
『狂闘士』オーネストは敵と見なした者に決して手心を加えずに全力で鏖殺する。相手が泣こうが喚こうが世界の半分を割譲しようが、オーネストは絶対的に敵を打倒し、圧倒し、見る者にも戦った者にも恐怖を植え付ける。そこには勝敗を越える妄執染みた世界があった。
本気とか全力とかレベルといった数字以前に、彼という存在そのものが暴力の擬人化であり恐怖の権化なのだ。故に、誰もがオーネストの実力を認めながらも決して戦おうとしない。彼を敵に回した結果を良く知っているから。
オラリオ最強と謳われるレベル7、『猛者』オッタルは、彼と戦って右の耳を失った。
幸いにも耳は様々な回復方法を駆使することでまた生えてきたが、そのニュースはこの街を揺るがすに値する驚愕を以ってしてオラリオに響き渡った。オッタル自身もその戦いを「己の人生で最も恥ずべき戦い」と断言している。
オッタルは、フレイヤ・ファミリア最強の戦士だ。そして、オラリオ唯一のレベル7でもある。
他のレベル6をも大きく凌駕し、どんな魔物と戦っても負傷するような失態は冒さない。
つまりそれが意味するのは最強、無敵、強靱、そして頂点なのだ。
彼の存在そのものが無敵神話そのものと言ってもいい。
その無敵神話に、初めて雑菌塗れの汚泥を塗りたくった男がオーネストなのだ。
当時、オーネストは危険人物として一部では知られていたが、どちらかと言えばアングラな存在だった。そんな彼にちょっかいをだしたのがフレイヤ。彼女はいたく彼の魂を気に入って勧誘しようとしたらしい。だが――それはオーネストの「何か」に触れ、彼を極限まで激昂させる。オーネストはフレイヤに「報い」を受けさせようと、そしてオッタルはそれを防ごうとして決闘が始まった。
最終的に、オーネストはオッタルには勝てずに公衆の面前で敗北した。
オーネストがオッタルに負わせた傷はその耳と、いくつかの切り傷程度でしかない。その後オーネストは1週間もの間昏睡状態に陥るほどの深手を負い、ゴースト・フ
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