8.リリリーリ・リーリリ
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りにあるが、オラリオの求める『理想の冒険者』とも『標準的な冒険者』ともかけ離れている。こいつが求めている『夢』とやらは、ダンジョンの外にある可能性の方が高いくらいだ。
対してオーネストの望むものは、ダンジョンにしかないのだ。
戦わなければ、オーネスト・ライアーは死を迎える。
本当の意味での、自分にとっての死を。
「俺は自分の生き方を決して後悔しない。だが、後悔する生き方の方がお前には似合ってるような気もする。痛い目を見る前に、退いてみたらどうだ?」
それとも――俺も怖いのか。
いつか、この長身の酒飲みが世界から捨てられる瞬間が。
知っている。
分かってるよ。
俺は元々――臆病だから。
だが、アズライールを前にすると、時々その事実さえも覆るような気がするのだ――
「おーいおい、俺の行動は俺が決めるもんだぜ?お前の口癖でもあんだろ?死にたがりのオーネスト君や」
アズがオーネストにツマミの干し肉の欠片を突きつけた。
神妙な顔でオーネストを睨みつけたアズは、シニカルに笑った。
「俺は強欲じゃないが、結構馬鹿でな?二人の事を背負うってのはそれなりに不安もあるが、両立させようとも思っている。そして、晩酌の話し相手が眼を離した隙に勝手にくたばるのはこの俺が許さん。――俺に生かされてろ、馬鹿一号」
「………お前の友人趣味も最悪だ、馬鹿二号」
突きつけられた干し肉を取ったオーネストは、呆れたように鼻で笑いながら肉を齧った。
アズもまた、シニカルな顔を悪戯っぽい笑いに変えて肉を齧る。
まったくどうして――俺達はとことん碌でもない。
だからこの碌でもなさに、俺は時折どうしようもなく充足を感じるのだ。
置き去りにされた俺の刻と、いずれ訪れる告別を考えないで済むのだから。
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