8.リリリーリ・リーリリ
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から」
倹約生活のリリにとってコーヒーはあまり親しみのない飲み物だ。
角砂糖とマドラーが差し出されたので、3つほど放り込んでかき混ぜる。何とか飲めるようになったが、今度は熱くてあまり飲めない。コーヒー自体はとても香りが良いのだが。仕方なくふうふう息を吹きかけながらちびちび飲むことにした。呑み込むたびに喉の奥が熱くなり、顔が一気に熱を持った気がする。
傍から見るとものすごく子供っぽく映ってるかも……ちらりとアズの方を見ると、微笑ましげにこちらを眺めていてさらに気恥ずかしくなった。
「あの……あんまり見られると恥ずかしいです……」
「おっと、ごめんごめん。デリカシーに欠けたかな」
「まったくアズときたらこんな小さいのにヨクジョーするなんて……」
「してないしてない。お前はすぐそうやって人をからかうんだからなぁ」
リリの方から目を逸らして持参の文学書を読み始めたアズの脇腹をマリネッタがつつく。傍から見るとまるで兄妹のように仲睦まじく見えた。マリネッタも別に本気で言っている訳ではないらしいが、その理屈で言えばリリよりマリネッタの方が危ない。年齢的にはリリの方が上だが、外見年齢は五十歩百歩だからだ。
「貴方だって身長そんなに変わらないでしょ。まぁ強いて違いを挙げるなら……」
リリは自分の年相応に発達した双丘を見て、マリネッタの小さな丘を盗み見る。
その視線に一瞬怪訝な顔をしたマリネッタは、一瞬遅れてその意味を理解したのか胸元を隠して顔を真っ赤にした。
「あっ!?り、リリの癖に生意気なっ!!いいのよ私はつつましい生活をモットーにしてるから!贅肉を溜めこむ余裕はないの!!」
「ふふん、自慢じゃありませんがリリだって贅肉を溜めこむほど生活に余裕はないのですよ。つまりこれは純然たる戦力差です!!」
「くぅぅぅぅ……あ、アズ!!アズはおっきいのとちっこいの、どっちが好みなの!?」
「や、何の話か分かんないから………何?太ってるかどうかって話?二人とも年の割には細っこいと思うぞー」
「そうじゃなくて!!」
こいつ本気で話を聞いてない。辛うじて贅肉がどうとか言う部分が聞こえたらしいが、視線が小説に向いているので気持ちも籠っていない。……なんだかんだでマリも乙女なんだなぁと思ったが、アズはそんな様子には気付いていない。意外と鈍感なんじゃないだろうか、この人は。
しょうがないなぁ、とリリは素直じゃない友人をちょっとだけ手助けしてみることにした。
「アズさん好きな女性のタイプはどんな人ですか?」
「ああ、そいう話か。別に見た目には拘んないなぁ……そりゃできれば綺麗な人とか可愛い人がいいけど、身体の大小までは考えないと思う」
イキナリ何聞いてんの!?と言わんばかりに睨んでくるマリネッタをスルーして
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