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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
8.リリリーリ・リーリリ
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いう接戦となってしまった。7人のリリの総合体である主人格リリはあくまで議長なので投票権を持たない……ということは、多数決に則ればこれで決着となる。

『ではー……もう議論するのも面倒くさいので採決していいですか〜?』
『鉄は熱いうちに打て!!』
『なんですってぇー!?そんな騙し討ちみたいな採決がありますかー!!』
『こんな身勝手、アトリームじゃ考えられない!!』
『パパといっしょ〜♪』
『パパじゃありません王子様です!……っていうか、歳の差3歳ですよ?』
『クク……王子でもパパでもないだろうとツッコむのは無粋ですかね……』
『民主主義など!多数決など、大衆迎合主義が生み出した幻想でしかない!ならば民意とは一体……!』

 7人のリリが円卓会議内で踊り狂う。守る賛成派と攻める反対派に挟まれた主人格リリは猛烈な勢いでもみくちゃにされて悲鳴を上げた。

『ぎゃー!?あ、あ、暴れないで!こら!ジーミン党の強行採決を邪魔するミンシュー党みたいになってますから〜〜〜っ!?』
『議長!採決を!!』
『強行採決絶対ハンターイ!!』
『ああもう!!一旦この会議は延長でぇ〜〜〜〜すッ!!』



 = =



「ハッ!!ゆ、夢………」

 もうかけられるのも三度目になるアズのコートに包まれてリリは目を覚ました。
 酷い夢だったが、思い返すとあの人格たちは弱いながら確かにリリの中にあった思いと一致している気がする。

「でも、リリデレラとリリエンタールはないでしょ……うん、ないと信じたい」

 もしもあったとしたら、リリは自分と向き合えずに心の闇を暴走させてしまいそうだ。是非ともあの二人が人格の表に出ないよう、リリセーセキとリリカワ辺りに頑張ってもらいたいものである。

「お、目ぇ覚めた?」
「ま、マリネッタ……それにアズさんも。ひょっとして居眠りしちゃった……?」
「や、悪いね授業が長引いちゃって。退屈させた?」

 冷静に考えれば木漏れ日に包まれて爆睡してしまったリリの方が悪そうなものだが、それを指摘しないのは人がいいからだろうか。恐らく眠ったリリをベッドまで運んだのもアズだと思われるので、会うたびに面倒をかけてしまっている。

「で、なんの夢見てたのよ?なんかパパとか王子様とか強行採決とか呟いてたけど」
「あーいやいやいやいやはははは全然面白くないし話すほどの事でもないのでお気になさらずははははは本当しょうもないことですから」

 あんなカオスすぎる上に一部恥ずかし過ぎる夢を間違っても他人に聞かせる訳にはいかない。

「あらそう?微妙に魘されてたから何事かと思ったよ。はい、モーニングコーヒー。ちなみにアズの奢りね?」
「ど、どうも……にがっ」
「あーごめん。ミルクはないけど砂糖ある
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