7.無頼漢調査その二
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くったのに全然酔えないから、あのアルコール度数96%を誇る『スピリタス』をストレートで一本開けたことがあるらしい。お酒を飲んだことがない良い子にも分かりやすく言うと、お酒に慣れた人でも悶絶するレベルの刺激の酒をガブガブ飲んでいると考えてほしい。
……それでも酔えなかったのは今更言うまでもないだろう。
(……アズさんがリリのパパだったらよかったのに)
父親がソーマに溺れて無謀な冒険をした挙句死んだリリは、その時割と本気でそう思った。
アズは強くて優しいし体が大きいから、リリの低い身長からすると大人な男という印象がかなり強い。恐らく彼が貧民街の子供たちに人気があるのは、彼に『父性』というものを感じているのだろう。
あの日から、リリは本格的にソーマ・ファミリアで孤立していた。というのも、もし迂闊な事をしてリリが自分の受けた仕打ちをアズに漏らそうものならどんな仕返しを受けるか分かったものではないから刺激できなくなったのだ。よって、利用することも利用されることもリリはなくなってしまった。
貰った神酒はいつでも売れる。リリがその気にさえなれば、いつだってソーマ・ファミリアを脱退できる。自分が求めてやまなかった結末の筈だ。
なのに、何故自分はそれをせずにぼうっとしているのか。
アズと出会った貧民街の家の窓際で、リリは憂鬱な溜息をついた。
彼女の視線の先には、この憂鬱の遠因であるアズが黒板に何やら書き込みながら子供たちに説明している。
「――とどのつまり、掛け算というのは足し算の延長線上にあるんだよ。9×9なんて9を9個足せば答えは出るんだ。それをやらずに呪文みたいに九九を覚えさせるのは、実務的な計算ではこの単純な掛け算を把握した方が楽ちんだからだ」
「ジツムテキってなにー?」
「お金の勘定をするときみたいに、実際に数を数える時のこと」
「お金の勘定ならマリ姉がやってくれんじゃん」
「おまえそうやって一生マリネッタに甘えて生きていく気か?マリネッタが病気にかかったときに誰が金の勘定するんだ?薬買うのにいくらして、今あるお金で何日食べ繋げるか考えたうえで行動できるか?」
「……アズ兄助けて!!」
「どーしよっかなー。気分次第では助けないかもなー」
「ええっ!!」
「アズ兄、わたしたちのこと見捨てえるの!?」
「ヤダー!捨てないでよぉ〜!!」
「ぬわー!纏わりつくな鬱陶しい!いいか?俺がダンジョンの奥とかに籠ってたらいくら叫ばれても助けにいけないの!いつまでも・あると思うな・アズの金!!嫌ならちゃんと勉強しなさい!!」
「「「はーい!」」」
そこにいたのは、紛れもない『告死天使』。
体温を奪うような死の気配を纏う、危険な男。
その男が、なぜか子供たちに勉強を教えていた。
やっぱ
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