7.無頼漢調査その二
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超克したうえで、それでも『我思う故に我あり』を完全に貫き通していた。つまり、あらゆることを理解したうえで、それでも自分が自分である事を決定したんだ。
どういう意味かって?簡単に言えば、究極の自己中さ。
普通自己中っていうのは自分のやった都合の悪いことからは目を逸らすし、自分が考えてもないことは知ろうともしない。気分屋で自分が楽しければいい訳で、先を見通さない刹那的な楽観主義だから責任の所在が自分にあるなどと疑いもしない。何故なら、考えないからだ。
オーネストは違う。あいつは常に考えているし、心の中に社会規範である『善』と自意識の裁定する『我』を良く知っている。要領のいい生き方も選択肢も、あいつは全部知っているんだ。知った上で、あいつは自分の『我』のみに全てを注ぎ込む。
それは極まった愚者、どうしようもない愚か者の選択だ。
愚かだと分かっていて尚、愚かしい行為を決してやめようとしない。
人の築いた社会にとって完全な自分主義というのは害悪であり、排斥されるべき異物だ。他人を省みないし、実は自分自身も省みる事はない。本来なら忌避すべき行為を躊躇いもなく実行する。自殺衝動……違うな。毒だ。あいつの色は他人に感染する。
ああ、いや。悪い風に言いたいんじゃないんだが……言葉がうまく纏まらないな。
ともかく、あいつは純潔なんだよ。虚偽と欺瞞に溢れたこの世界で、あいつは気高い。
その気高さが人を惹きつけるんだと思う。俺は少なくともそうだった。
そして、アズも………あいつは気高いのとは違うが、オーネスト以上に純粋かもな。あいつは今じゃなくて、これからが楽しみな奴だからよ。
こうして、幸運にも4人もの【ゴースト・ファミリア】の証言を得られたエイナだったが……。
《これまでの情報纏め(オーネスト編)》
・大のギルド嫌い
・敵が多く、顔は広い
・シユウ・ファミリア及びヘファイストス・ファミリアと交流がある
・子供の頃から冒険者として高い実力があった
・死や傷を怖れない
・お金や装備への執着は薄い
・暴力的だが非情とは言い切れないツンデレ?
・「自己決定」を重んじ、支配を嫌う
《これまでの情報纏め(アズ編)》
・オーネストの大親友
・オラリオに来たのは割と最近
・人が良く、友達付き合いもいい
・死や傷を怖れない
・お金や装備への執着は薄い
・性格は基本的に優しく、肝は座っている
・謎の魔法『死望忌願』を用いて戦い、アイテムや薬も作れる
・子供に人気がある?
「………悪い人ではないのは分かりました」
「うんうん。オラリオってなんだか分かりやすいクズとかあからさまに悪に偏った奴多いもんな」
「テメェのいう事に同意するのは癪だが、それは確かに
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