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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
7.無頼漢調査その二
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いことには違いないね。

 これはオーネストも知らない事だと思うけど、彼はあれで時々変な事を悩んだりしてるんだ。その時は私も彼の相談役としてお酒を酌み交わす。そうこうしているといつの間にかオーネストより彼と接する時間の方が増えてしまって、今では休憩がてらこの屋敷に足を運んでると言う訳だ。

 あ、そうだ。彼の人となりを知りたいんなら貧民街に行くと良いよ。スリは多いけど、アズはあそこの子供たちに妙に好かれてるんだ。やっぱり子供は人物的本質が良く見えてるのかもしれないね。


 オーネストは、親方(シユウ)経由で紹介されて、「こいつの防具を作れ!」って。行き倒れみたいに町で倒れてたオーネストを親方が拾ってきたときに見たのが初対面だったね。

 まぁ、びっくりしたよ。体中がボロボロで防具を付けていないのに、背中に傷が全くない。しかも握っている剣には夥しい魔物の血糊がへばりついている。ね?………あ、ごめん。鍛冶屋ならこれで大体伝わるんだけど、普通の人には分かりにくいか。
 普通、防具が壊れた冒険者や防具を失った冒険者は、それ以上のリスクを避けて撤退する。その際に傷だらけになったとしたら、逃げる途中を襲われるんだから大なり小なり背中に傷が入る。でもそれがなかったということは、オーネストは防具もないのに全ての魔物を真正面から斬り伏せてきたってことだ。行きも帰りもあくまで狩る側。それが証拠に剣にも激しい戦闘の痕跡が残っていた。

 つまりね、自分の身体を護る気がないような戦いをしてる男だって言う事がその時点で分かるんだ。
 このままだとこいつは直ぐに死ぬ。そう思いながら、全力を注いで彼の防具を作った。彼はそれを着てダンジョンに向かい、直ぐにぶっ壊して帰ってきた。後はその繰り返しさ。「壊すなよ!」って思いをありったけ込めた防具はどんどん性能を増していったけど、オーネストもオーネストで「そんなことは知らん!」ってばかりにぶち壊す。
 後になって気付いたけど、多分親方は私とオーネストを競わせるようにしてその実力を底上げする気だったんだろうね。私も何度も自分の作品を……絶対壊れないってくらいに願いを込めた鎧をぶち壊されるものだから、何度も心が折れそうになった。それでも私は諦めずに作り続けたし、オーネストはそれでも自分を壊し続けた。ある種、永遠のライバルみたいだね。


【ヴェルトール・ヴァン・ヴァルムンクの証言】

 俺かい?俺は……そういえば俺も3,4年くらいしか付き合いないなぁ。そう考えるとココって結構あいつと付き合い長いよな。シユウのおやっさんと並んで最古参じゃないか?

 ああ、そうそう。理由だったな。
 俺がアルル・ファミリアで人形師として人形作ってたのは知ってるか?……は?似合わない?違う違う、似合う男から似合わない男に変わ
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