6.無頼漢調査その一
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っていたものは、実は私の意志じゃなかった』
衝撃が走ったね。雷に打たれたかと思った。
ココ・バシレイオスという一人の少女は、果たして何がしたいのか。
もしお前が戦士でなかったとしたら、一体何のために戦うつもりだったのか。
何に抗い、何を倒し、何を得るために戦うか。
戦いは戦士としての闘争心を満たすため。
武功と栄誉はスキタイとしての誇りと同じ。
なら、私のやりたいことは?オーネストへの対抗心はどこから来るの?
『勇猛』とか『殉死』なんて言葉は全て後付の価値観に過ぎない。「そうなのか」と納得したものでなく、「そういうものか」と真似て得たものだ。えっと……オーネストはそれを『あーきてくちゃ』って呼んでたけど。ともかく、戦士でない私は何がしたいのか考えてみた。
『………怠けたい。家でダラダラしてご飯食べて、たまに剣の修行したりとか?あれ、そう考えると特に戦いたいわけじゃないのかな?』
『お前、本能で生きてやがるな………』
その時、オーネストは呆れてたけど、どこかホッとしてるようにも見えた。
そして、こんなことを言ったんだ。
『一つ、おせっかいを言っておく。もしもお前が一つの使命を帯びた時、内心で「やりたくない」とか、「本当に必要なのか」と考えた時は……考えろ。使命だから仕方ないとか、戦士としての誉れだからとか、そんな言葉で自分の声を消すな。お前が生きる理由と死ぬ理由は、お前が決めるんだ』
『あのー……つまり、私にスキタイを捨てろと?』
『勘違いするな。スキタイを背負うも捨てるも……戦うも戦わないも……全ては、自分で正しいと思った方を選べばいいだけだ。捨ててもいい物、捨てられない物、捨てたくない物………それの存否を他人や運命に委ねなければいい。それが、人間が自分で選択するという事だ』
そのことをファミリアの先輩に話してみると、「それはとても難しい事だ」と言った。
人は民族、言葉、主義、主張、文化、価値観など様々なしがらみが広がる世界で、時代という流れに向き合いながら進まなければならない。その中で得るものもあれば失うものもある。いわばスキタイにとっての「スキタイである」とは、内側に潜む本当の自分を守るための鎧でもあるのだ。
オーネストの生き方は、しがらみを強引に引き千切り、流れと真っ向からぶつかり合って、本当の自分がどんなに傷つこうとも――それでも自分が自分であるという主張を強引に押し通す生き方だという。普通の人間が真似すればあっという間に雁字搦めにされ、濁流にのまれて自分を失ってしまう。
私は未だに「私」が何をしたいのかがちょっとずつしか解らない。
でも、取り合えず。
「オーネストと一緒に戦うのは好きだな。あいつの背中を護って、あいつに背中を護られて……私達は生き
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