6.無頼漢調査その一
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うに眺めた後、デスクの中に仕舞い込んだ。
「作戦その二、そもそも違法換金所が問題な訳だからそこを取り締まってしまえ、と。これは治安維持としては上手く行きましたが、残念なことにオーネスト君はお金に困っていませんでした。よってオラリオ内がスッキリした以外は何の意味も無し、という訳です」
「はぁ……まぁ、無駄でないだけさっきよりマシっスね」
ロイマンは欠伸混じりに書類に目を通しながら話を続ける。
「作戦その三、猛烈な説得。彼に近しい者、彼と関わりのある者を徹底的に洗い出して説得するよう試みようとしました。が、大半は人物特定に到らず、更に残り少ない特定人物も『オーネストを説得?出来るならやってるに決まってるじゃん馬鹿なの?死ぬの?』と逆に怒られる始末。いわゆる企画倒れという奴ですね」
「うわぁ……マジっスか。変人偏屈列伝の登場人物になりそうっスね」
ロイマンは書類仕事が終わったのか背もたれに持たれて回顧にふけっている。
「その後様々な対オーネスト戦略が組まれましたが、結局解決せず。冒険者登録を解除してオラリオ追放にしたこともあるんですが、驚くべきことに無視されました。法的強制力があっても実質的な戦闘を行わないギルドでは彼の行動は止められませんし、代行になるファミリアが彼相手には及び腰。おまけに彼が恩恵を受けているかどうかさえ謎なので、神の方から恩恵を奪うのも無理………結局、2年前に彼のお友達のアズ君が莫大な迷惑料を抱えてギルドに訪れることで和解が成立。今や彼とアズ君は中立を貴ぶギルドの唯一の例外的存在となっています。私としては、不利益も出ていませんし結構な結末だと思いますがね」
「ちなみにそのアズライールさんは………」
「彼もオーネスト君同様不明な点が多いですね。結局レベルも不明のまま登録されています。ただ、アズ君の只ならぬ気配のせいで神が怖がって手出ししようとしませんので、ある意味ではオーネスト君以上のアンタッチャブルです」
こんなとんでもないことを真顔で言うあたり、案外ロイマンさんも大物だな……と新人ギルド職員は思った。お金大好きで脂肪をでっぷり抱え込んだエルフのロイマンだが、流石ギルド代表なだけあってその知識量は豊富だ。
「それで、結局君は何で私にオーネスト君のことなど聞きに来たのかね?」
「え、ええ………なんかエイナさんが『どうしても納得できない』とアズライール・オーネストの近辺を探りに行ってしまったんスよ」
「そうですか。………ま、彼女はあれで頑固なところがあります。その目で直接二人の近辺を知れば、ある程度満足できるでしょう」
(………ん?その物言いからすると、ロイマンさんは二人の近辺を把握してるって事っスか?)
デスクで爪を砥ぎ始めたロイマンの得体がどんどん知れなくなってい
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