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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
5.プリーズギブミーお小遣い
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…んん?ちょっと待ってくれ、マリは一体俺の事をなんて説明したんだ?」

 どうもアズの脳内のマリ好感度と現実のそれにズレを感じたらしい。
 リリは過去のマリの興奮した様子を思い出しながら、その時のマリの会話を再現する。

「それは……飢え死にしそうなところに颯爽と現れてお金を恵んでくれて、悪を挫いて弱きを救う『聖者(ハギオス)』だと大層陶酔してましたよ。挙句『アズは私の王子様』とか『おヨメにいくならあの人の――」
「だっしゃらあああああああああああ!!」
「うおおおおおッ!?窓から突然マリが!?」

 「おヨメ」辺りを口にしたその瞬間、家の外の窓から顔を真っ赤にしたマリネッタが吶喊してアズに猛烈なタックルをかました。衝撃にのけぞるアズだが、マリネッタはそのままアズに馬乗りになって必死に釈明を開始した。

「アズ!!ちちち、違うから!いや違わないけど違うから!!リリなんてほら泥棒だから平気な顔して嘘つく子だから今の嘘ね!!」
「え?あ、うん。ぶっちゃけ『ハギオス』って何だろうって考え事してたからちょっと聞いてなかったんだけどね」
「ならよしっ!!」

 ほっと一息ついたマリネッタはアズを離し、今度はリリを勢いよく捕まえて血眼で睨みつける。正直、キレた冒険者の眼の10倍は怖い気がする。というか鬼が憑依していらっしゃる。

(な、に、を!!さらっと乙女の純情バラそうとしてんのよ!!)
(え?え?だってあんなにべらべらしゃべっているものだから、てっきり本人の前でもあんな感じなのかと……)
(ンなわけあるかい!!私はアズの前ではちょっと小生意気な少女くらいで通ってるのよ!!)

 どうも彼女は初恋をギリギリまで引っ張っていく気らしい。自分が貧民であることや家族の事を考えるとどうしても遠慮がちになってしまうが、それでも好きなので本人には恥じらいから悟られないようにしているようだ。

(意外としおらしいんですね………)
(うっさい。とにかく、あのことは私がイイっていうまで絶対秘密よ!)

 閑話休題。結局マリネッタの話の肝心なところを聞き逃したアズは何事もなかったかのように話を続ける。

「あー……それで、リリちゃん。取り敢えず俺と君は出会った訳だけど、会って結局何する気だったの?」
「それは、その……そんな絵にかいたような善人居る訳ないと思って、化けの皮剥がしに来たんです、けど、その………」
「想像以上に大したこと無くて肩すかし喰らったかい?」
「い、いえいえいえいえ!!私の想像した以上にお優しい方で、疑った自分が恥ずかしくなったと言いますか!!」
「………俺、そんなに優しいかね?正直なんで自分が天使呼ばわりされてんのか分かんないし、むしろただ自分勝手なだけだと思うけど」

 後ろ頭をぼりぼり掻いたアズ
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