5.プリーズギブミーお小遣い
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そと泣きわめく女に、そう告げられた気がした。
――ゆっくりと、意識が浮上する。
ここは、地獄だろうか。それにしては暖かい。気が付くと大人用のコートが体にかけられていた。匂いを嗅ぐと、なんだかほっとするような不思議な匂いがする。なんとなくそれを羽織ったまま、ゆっくりと立ち上がる。
そこは古びた家だった。奥の方からは何やら騒がしい声が聞こえる。
「やっと目覚めたのか。よろしくリリちゃん!俺、アズ――」
「ひっ!?」
一瞬反応が遅れたせいでその場を飛び退る。そこには――紛れもない、『告死天使』がいた。
心臓が飛び上がる。と同時に、まだ心臓が動いていることも自分の持ち物が盗られていないことも認識し、まだ生きている!と心の中で叫ぶ。
しかし、相手は目の前だ。
人の魂を選定し、刈り取る者。『死』を纏う秩序なき天使。
オラリオで触れてはいけない、目に見えた『危険』。
あの手がこちらに翳された瞬間、非力な自分は喉を掴まれ手首をへし折られるかもしれない。
まずいまずいまずい殺される殺される殺される――逃げなくては――強くそう思った。咄嗟に窓から逃げようと飛び出したが、身体ががくんと沈む。
慌てて後ろを見ると、自分の細い足に鎖が巻き付いて身体を捕えていた。鎖の繋がる先が長身の男の手の上に到ったところで、やっとその正体を知る。
「『選定の鎖』……!!」
「や、別に固有名ないんだけど」
「嘘だ!!一度掴まれたら足が千切れても魂を拘束する『告死天使』の必殺技だって誰もかれもが噂してる!!」
「噂してるだけだから!別にそんな怖い鎖では………あ、そういえばこの鎖に巻かれて自力で逃げられた奴一人もいないっけ?」
何でもないように告げられたそれは、噂の真実にして事実上の死刑宣告だった。
「いやぁあぁぁぁぁぁぁぁッ!!離して……離せぇっ!!」
鎖の冷たさが、まるで足を凍らせているかのように生気を奪っていく。段々と足が凍りつくような、今までに一度も体験したこともない死への恐怖がこみ上げる。怖い、怖い怖い怖い怖い怖い逃げなくては逃げなくては逃げなくては逃げなくては逃げなくては。
(例え、この足を犠牲にしてでも――!!)
普段ならばそんなこと、思いつきもしなかったろう。
だが、噂の『告死天使』に生殺与奪権を握られているという思い込みと恐怖が、狂気の行動を選択する。私は咄嗟に、蜥蜴の尻尾という言葉を思い浮かべて腰にある護身用のナイフを抜き取った。
この足を斬り落としてでも。
私は、生きたい。
「あああああああああああああッ!!!」
「あ、やばっ――」
衝撃――遅れて、鮮血。
刃は深く柔らかい肉に食い込み、暖かく
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