4.くそガキvsくそメイド
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しない。
なぜなら、誰も信用できないから。
信用こそが自分の心を最も傷付け、弱らせると学んだから。
『俺は誰も信じない。俺は誰にも頼らない。俺は誰にも背中を預けない。俺は誰が裏切ろうと気にしないし、誰が寄ってこようと心を許さない。俺は独りで、俺だけを信じて、俺の為に、俺のしたいことをする。お前らはそれに必要ない』
結局、誰も城壁の門のように固く閉ざされた彼の心をこじ開ける事は出来なかった。
間もなくして、ファミリアは敵対勢力の悪辣な姦計を前に壊滅し、リューは復讐に堕ちた。
復讐に奔ったリューを待っていたのは、心を穿つような充たされぬ虚無感だった。
殺しても殺しても、魂の熱はただ冷めるばかり。渇きが決して癒えることはなく、代わりに生まれた欲動は後悔だった。
復讐に奔らなければこんなことにはならなかったのに。
仲間の仇を幾らとっても、ただ虚しいだけだ。
帰りたい、あの暖かかったファミリアへ。
ギルドに指名手配され、味方もおらず、いったい誰の為に復讐しているのかが曖昧になるほどに殺しを続けたリューは力尽きて、『豊穣の女主人』のミアに拾われた。そこでリューは復讐に溺れた自分を強く恥じると同時に、疲れ果てた心にいくばくかの癒しを得た。
上司、そして同僚。とても暖かく、どこか懐かしく、この時になってリューは自分がずっと寂しかったのだという事実に気付かされた。今度こそこの居場所を、仲間を護ろうと誓った。
リューは変わった。
だが少年――オーネストは変わらなかった。
二人の再会は、汚らしい路地裏の隅だった。
彼はそこで血反吐を吐きながら、自分を強制的に勧誘しようとするファミリアを処理していた。
ある者は髪ごと頭の皮膚をはぎ取られ、ある者は腕をナイフで串刺しにされて泣き叫び、またある者は何度も何度も煉瓦に顔面を叩きつけられて血塗れだった。オーネストはそこで満身創痍になりながら、最後の一人に受けた魔法で半ば炭化した腕を使って相手を何度も何度も殴りつけていた。
常人なら泣き叫んで逃げ出すほどの傷と激痛に、彼は微塵も動揺していなかった。
殴るたびに彼の腕から噴出する血と、炭化して剥き出しになった骨に殴られた女の顔面の血が撒き散らされた。それは、見るのも聞くのもおぞましい凄惨な光景だった。女性の顔は既に原型を留めていなかった。全員、死んでこそいなかったが抵抗する気力を恐怖に塗り潰されていた。
やがて相手の歯を全てへし折ったオーネストは懐から出したハイポーションを炭化した腕にかけ、残りを飲み干したあとに一度激しく吐血して、そこで初めてこちらに気付いた。
『………どけ、邪魔だ』
開口一番、彼は高圧的にリューを押しのけた。
『な……そんな体で何を強がって
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