4.くそガキvsくそメイド
[4/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
くそんだけ喧嘩してこの店を出禁にならねぇな……」
「ふん、俺は元々こんな店には来たくはねぇ。ただ………」
「ただ?」
「ここに来ねぇとあの女将の手回しで飯を買えなったりギルドが玄関先で土下座して来たり色々面倒くさんだよ」
「俺もその発言に色々とツッコみたいんだけど……」
詳しく聞くと、ミアさんとオーネストが喧嘩したのは一度や二度の話ではないらしい。
俺がオラリオに来て半年ほどの頃に起きた『オーネスト味覚障害事件』より更に前、オーネストはまた些細な見解の相違からミアさんと猛烈に喧嘩し、出禁どころかミアさんの手回しでオラリオのパン一つ買えない指名手配レベルに陥ったらしい。
流石のオーネストも犯罪者じゃないから店の襲撃なんてしないだろうし、兵糧攻めにしたらちょっとは反省するだろうと周囲は「いい気味だ!」と笑っていたのだが、その中ミアさんとリューさんだけは懸念を拭えなかった。
そして、予想通り直ぐに状況が一変する。
オーネストはその日からダンジョン内の魔物の中で食べられそうなのを捕まえてホームに持ち帰り、捌いて食べ始めたのだ。毎日毎日植物モンスターと獣型モンスターを引きずって帰るものだから当然街は騒然とするが、やっているのが『あの』オーネストなので誰も口を出せない。
――余談だが、『魔物を食べる』という冒涜的行為にオーネストが至った経緯は、昔このダンジョンで食べられる魔物とそうでない魔物を調べた異端者の出版した本を手に入れたのが原因だという。ご飯が駄目ならご飯を手に入れる方法を買えばいい、というある意味オーネストらしい発想だった。
やがてゴミ回収所に魔石やドロップアイテムごと魔物の骨や残骸が捨てられるようになり、噂を聞いた浮浪者や貧乏人が「タダで金目のものを手に入れるチャンス!」とゴミの日に合わせて大移動を開始。この大混乱の主がオーネストで、しかもその事態を招いたのがミアさんとの喧嘩であることを突き止めたギルドが「お願いだから彼にまともな食べ物を食べさせてくれ!!」と土下座する事態にまで発展した。
結局、オーネストは周囲からの猛烈な説得により魔物食生活を断念。晴れてこの店に定期的に通うようになったのだという。
「もう何もかもがレジェンドだなお前は……お前みたいな滅茶苦茶な奴は向こう一億年は現れそうにねぇよ」
「そしてきっと一億年後に現れたその大馬鹿はこの男の転生体です。地獄行きの服役を終えて野放しになったのでしょう」
「否定はできねぇな。だが、それが俺という人間だ」
「えばって言うな」
……ごもっともです、リューさん。
= =
リュー・リオンは今でもかつてのオーネストの眼が忘れられない。
まだ、リューの所属していた【アストレア
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ