秋山 駿
第二章 交わる想い
第九話 居場所
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がどうかしました?」
鋭い目を向けた大吾が問いかける。
秋山は低く呻きながら、肩を落とした。
「喜瀬組に攫われたんです。それで伊達さんが捜してくれてたんですが……」
「神室町ヒルズの何処かにいると、そう書いてあったんですね」
大吾の言葉に、秋山は頷いた。
手を伸ばせば届いた距離なのに、何もできなかった。
そう思う度、苛立ちがさらに募る。
花屋は葉巻を咥えると、またモニターの方に向き直った。
「遥はヒルズの15階、今は何も店舗が入っていないテナントにいるようだ」
映し出されたモニターに、椅子に座った喜瀬と縛られた遥の姿があった。
何かを話しているようだったが、よく聞こえない。
「堂島さん、ここにいてください」
「えっ、でも……秋山さんお一人で行くつもりですか?」
「堂島さんが行くと、話がさらにややこしくなります。麻田も動けないなら、俺が行くしかないです」
もう、あんな思いはしたくない。
谷村と共に叩きのめされた悔しさ。
大切なものを失う恐ろしさ。
そして……
「何だか俺、桐生さんに感化されすぎたかな……」
自虐的に笑うと、そのまま1人で出口に向かう。
扉を閉じる前に、心配そうに秋山を見る花ちゃんの顔を見た。
振り回してばかりで悪いな……。
心配させてばかりで、本当に大切な人を困らせる。
秋山は花ちゃんに向け、親指を立ててニコリと笑った。
完全に扉が閉まると、大吾と花屋はお互いの顔を見る。
「何だったのでしょう、今の」
「まぁ、秋山なりの言葉だったんじゃないか」
花屋が花ちゃんを見ると、強い眼差しで扉を見つめる花ちゃんの姿がそこにあった。
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