3.騒霊劇場へようそこ
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現方法が違うのか、固有のコロニーでも形成してんのか……」
「オーネスト、こりゃ一人で対応しちゃ二進も三進もいかんぞ。どうにか体液浴びずに戦えねぇのか?」
「チッ……無理じゃねえが確実に剣が1,2本駄目になる。そうするとヘファイストスに頭を下げる羽目になって何日拘束されるか……」
「あー、察した。ついこの前行ったときなんかひどかったな。アダマンタイトの備蓄がないとか時間がかかるとか散々言い訳して結局一週間も拘束されたから……」
ヘファイストス――俺はファイさんって呼んでるけど――は『ヘファイストス・ファミリア』という一流鍛冶集団の主神だ。ついでにオーネストの幼い頃からの知り合いらしい。立て込んだ事情は敢えて聞いていないが、ファイさん曰く『可愛い甥っ子』だそうだ。……オラリオ広しと言えど、この街で『狂闘士』に可愛いなんて言えるのはこの人くらいである。
そしてこのファイさんは子煩悩ならぬ甥煩悩で、一度でもオーネストが武器のメンテに訊ねてくると嬉々として迎え入れ、滅茶苦茶喋りまくり、手作り料理を用意しながらお泊りさせ、挙句一緒に風呂にまで入ろうとするのだ。目的は言うまでもなく無茶をしまくるオーネストにちょっとでも休んでほしいから。そして甘えてほしいからである。
神でさえ足蹴にしたり脅したりするオーネストが、この街で唯一本気で苦手にしている神……ゆえにオーネストは極力武器のメンテは欠かさない。それもまたファイさんがオーネストの生存確率を底上げする秘密なんだろう。
(まぁ、行かない訳にはいかんよな。聞いたところによると余りの壊し屋っぷりと悪名のせいで殆どの鍛冶ファミリアから出禁喰らってるらしいし……)
ともかく、いくらオーネストでも苦手な神の下には行きたくない。いつもなら止める間もなく相手を屠殺しにゆく彼が今回は珍しく俺に任せたことからもその警戒ぶりが窺える。
「ところでオーネスト。『死望忌願』って何喋ってるんだろうな?」
「多分ヘブライ語じゃないのか?専門外だから確信はないがな」
「……お前、ちゃんと意味ある言葉喋ってたの!?」
『??? ??? ??――』
『死望忌願』は心なしかジトっとした瞳でこっちを見下ろした。
衝撃の事実が判明したのはともかく、俺達は一度安全圏に戻ることにした。
『死望忌願』のパワーによるゴリ押しはどうしても手間と時間がかかるし、俺が盛大に暴れまわっていると他のファミリアが「告死天使」を怖れて同じ層に来たがらない。魔物をスルーして前進したらそれはそれで追跡されてしまい、その先でうっかりファミリアに出会おうものなら「怪物進呈」という魔物の大群を嗾ける行為に早変わりだ。
ここは芋虫相手にちゃんと立ち回れるファミリアに無理を言って頼み込み、一緒
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