2.異世界ホームステイ
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うな烈火だ。場の空気と言うものを、彼は暴食者のように喰らい尽くし、気迫だけで他者を圧倒する。その迫力たるや、神気に迫らんばかりの勢いなのだ。
そんな彼の敵意や拒絶意志を真正面から受けたうえで、それでも「ハイハイ意地張るのはそのへんにしようね」と鎖で縛って引き摺って連れて帰ることが、アズには出来た。
彼を心配する者たちは、彼の登場に随分胃の負担を減らされたものだ。
ただ、ヘスティアは未だに彼という人物を図りかねていた。
彼は死を想起させるような濃密な気配に反して、その性格は欲がなく善良。いや、完全な善という訳ではないが、ともかくオーネストと比べると月とすっぽんの違いがあるほど人格差があるのだ。
例えばオーネストは目の前に邪魔な人間がいると警告も無しに蹴り飛ばして「俺の道を遮るんじゃねえよゴミが」とか言っちゃう男だが、アズはその結果突き飛ばされた相手を助け起こしてオーネストの代わりに謝罪してくれる男だ。
基本的に真摯な紳士。しかしそれは人間的な特徴が表に出にくい模範的な態度とも言える。それなりに好奇心が旺盛で町を歩き回る姿をよく目撃されるが、肝心の『芯』の部分が見えてこない。渇望とか憧れとか、そういう「欲動」のようなものが薄い。
一度本人に聞いたことがある。君は何を求めて生きてるのか、と。
そのとき彼は、あっけらかんとこう答えた。
『夢だね。自分でやりたいことが見つからないんで、それを見つけたくて生きるのさ』
『それと、オーネストと一緒にいるのは関係があるのかい?』
『うーんどうだろ……その辺は俺にも分かんないなぁ』
つまるところ、彼の求めるものは彼自身にもよく分からない。
そして、これからどうなるのかも全然分からない。
結論は、どういう人物なのか分からないということだった。
「悪い子じゃないってのは分かるんだけどなぁ〜………」
バイト帰りにヘスティアはちらっとその場所を見た。
かつて、とある神がファミリアの本部としていた古ぼけた屋敷――今はオーネストの根城で、その知り合いがたむろするアウトローの本拠地となった場所を。
= =
『狂闘士』と『告死天使』の帰りを待っていたのは、健康的な黒い肌の女性だった。
彼女は二人の帰り着いた姿を確認すると、弾ける笑みで駆け寄る。
「お帰りなさいませクソ野郎ども!あったかいごはんをご用意してますよ?どうせ栄養偏った外食で済ませようと思ってたんだろーからとっととタダメシお楽しみくださいませ〜!!」
念のために言っておくと、彼女は別に怒っている訳じゃない。むしろ喜んでる方だ。
それでもこんなことを言ってしまうのは、単に彼女が壊滅的な敬語下手だからに過ぎない。
「もぉ滅茶苦茶だなそ
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