滲むような死と共に
1.俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
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られるが、鎖は既に彼を絡みとっていた。『死望忌願』の鎖は自慢じゃないが不壊属性に限りなく近い強度を持っている。
いくらオーネストが強くても一度縛られれば抜け出せないものだ。
「はいオーネストの簀巻き完成〜!ホラ帰るぞ?ヘファイストスさんの所で武器の整備する約束あったろうが!」
「くっ……分かったよ。自分の足で戻るからこの鎖をどかしやがれ」
「はいはい……『死望忌願』!もう離していいよ」
『?? ?? ????????――』
鎖から解放されたオーネストは不機嫌そうだが、一度発した言葉に嘘はつかないのがこの男のいいところ。もし帰る気ゼロなら鎖に縛られたままにらめっこが開始されるからね。
『死望忌願』は下らない事で俺を呼び出すな、と言わんばかりに不満そうにこっちを見てそのまま俺の影に戻っていった。
「っつーか、『死望忌願』を出すときは詠唱しろって念を押した筈だが?」
「良いだろ別に、誰も見てないんだし」
「………まぁいい。どうせ損するのはお前だしな」
「ひでぇ」
元々詠唱をしろと言い始めたのはオーネストなのだが、こんな時くらいはいいだろう。
俺に寄り添う分身であり力そのもの、デストルドウ。
俺が冒険者として死なずにやっていけるのも全面的にコイツのおかげである。
俺の鎖も元々はコイツの鎖。他にも十字架やら鎌やら銃やら色んなビックリドッキリ技を持った俺の最終必殺技だ。出し徳ノーリスクだけど。
デストルドウはこの世界では魔法という扱いになっているが、オーネスト曰く『それは魔法でも神の力でもない。お前の破壊的な側面が実体化して付き従っているだけだ』とのこと。つまり、某奇妙な冒険漫画や某仮面ゲームに出てくるアレに近い存在だそうだ。
なんでこれに目覚めたのかと言われれば、やっぱりオラリオに来る前のアレだと思う。
それにどんな意味があるのかは分からないが、案外意味なんてないのかもしれない。
「その力の本質は『人間』だ。『人間を生み出した神』から解脱しようとする力と言ってもいい。お前にその気はないだろうが、そいつは超越存在に死を齎せるだけの性質を備えている。本質を理解された日には、神は己の存在をかけてお前を殺しに来るぞ」
「だから詠唱をつけて特殊なだけの固有魔法に見せかけようってんだろ?でもさ、もう2年経ったけど誰にも気づかれてないじゃん。アレ唱えるの面倒くさいし、誰も見てない時くらいイイだろ?」
「ふん………なら精々バレないようにしろよ。壁に耳あり障子に目あり……用心に越したことはない」
なんやかんやで心配してくれているらしい。
こいつのそういうぶっきらぼうな優しさは、不思議と分かる人には伝わってくる。
だからこ
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