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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
滲むような死と共に
1.俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
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っちにいたらしく、日本時代の記憶をはっきり思い出したのは7、8年ほど前だそうだ。何か個体差のようなものがあるんだろうか?それともルートが違うのか?真相は謎のままだが、兎に角それ以来の付き合いだ。

 まだ夢は見れないが、昔よりは生きがいのある人生だ。御年たぶん18歳。苦しみ少なし悩み無し。
 現在ダンジョン37階層。今日も今日とて(ともがら)と、生活の為に金稼ぐ。

「そお……れぇいッ!!」

 手に持った戦闘用の鎖を全力で振り回す。
 この鎖は一種のマジックアイテム。力を入れずともその軌道はある程度俺の意思に従って、蛇のようにうねりながら魔物の身体に命中していく。横薙ぎの暴風が数十にも及ぶ魔物たちの体を抉り、削り、吹き飛ばす。

 ジャララララララッ!!と音を立てて俺の手元に戻ってきた鎖は、その破滅的な威力を存分に発揮して魔物を殲滅させた。一通り振った後に残ってるのは、魔物の残骸とドロップアイテム、それに魔石だけ。
 こんな戦い方をするものだから、俺の周囲には基本的に人が寄り付かない。寄ってきたらうっかり薙いじゃうから都合はいいのだが。

 や、俺は主にオーネストの倒した魔物のドロップ拾う係なのだ。数が多いと面倒だからこうして手伝いをするときもあるってだけだ。現にオーネストの奴は既に巨大な「迷宮の孤王(モンスターレックス)」とかいうドエライ化物相手に吶喊して血祭りに上げている。

 ダンジョンそのものに伝播する苛烈なまでの殺意。
 ドエライ魔物さえも圧倒する暴君による一方的な蹂躙が繰り広げられる。

「死ねぇッ!四肢を削ぎ落とされッ!五臓六腑を撒き散らしッ!!ただ無駄に!無為に!!お前を殺した俺への恐怖を抱いて消滅しろぉぉぉーーーッ!!!」

 周辺の魔物が助けるどころか逃走を開始し、「迷宮の孤王(モンスターレックス)」に至っては本当に四肢を削ぎ落とされながらも必死にオーネストから逃げようとしている。が、その願い虚しくオーネストはそのデカブツの背中に飛び乗って滅多刺し。両手で何度も何度も背中に剣を深く突き立てる度に、魔物の悲痛な叫び声が木霊する。

『アギャアアアアアア!?ガ、ガグゴゴゴオオオオオオオオッ!!!』
「うわぁ……ご愁傷様。往生しろよ?」

 ちなみにあの剣は別に痛めつけてるのではなく、背中から魔石を破壊するために肉を削ぎ落としているだけである。何をどう育てばあんなにエゲツナいことする人間になるのやら俺にはさっぱりわからない。その気になればあそこから魔石を両断することも出来る筈だが、もしかしたら真正ドSなのかもしれない。

 数分後、返り血で真っ赤に染まったオーネストは魔物が死んだことを確認して魔石を蹴り飛ばした。
 欲しけりゃ拾え、という意味である。この男、装備品を揃える以外に金を
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