任務-ミッション-part2/絶望の牢獄
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ぉ…」
モンモランシーに至ってはついにこらえきれず泣き出していた。魔法学院にふつうに戻っていたはずなのに、別に悪いことをしていたわけでもないのに(惚れ薬のことはもう忘れた)、突然こんな場所に連れてこられ、しかも同学生の死にざまを見せつけられるなど、自分がどうしてこんな目に合わなければならないのか訳が分からない。
「も、モンモランシー…どうか元気を出しておくれ!そ、そうだ!この花をプレゼントしよう!君を思って選んできたんだ!!受け取ってくれ!」
ギーシュは恋人の笑顔を取り戻そうと、どこからか取り出した花を彼女に与える。これでいつものように笑顔を見せてほしいと思ったのだが(これはもちろんギーシュの認識違い)、対するモンモランシーはギーシュから差し出された花束を乱暴に振り払い、花びらが無残にも周囲に散って行った。
「花なんかでいったい何ができるのよ!!このバカ!!」
そもそも花を見ただけで元気が出るような状況ではない。その程度で笑顔を取り戻せるほどモンモランシーたちは単純ではなかった。
「やだよぉ…もう帰りたいよぉ…」
つい先日まで、平民と貴族の間には絶対的な差があること、自分たちこそが頂点に立っているとばかり思っていた学院の生徒たちは、完全に先日まで保ち続けていた威勢の良さを失った。
「…うぅ…」
何もできないし、こんな場所から出ていくこともできない。しかも、この部屋を監視している者は、自分たちの知っているオーク鬼やトロルとは異なる存在…それも平気で人間を殺せる奴だ。冷酷にして残忍。祖国を裏切ったワルド並みかもしれない。そう思うと、いつもの余裕こいた態度を保つことができず、情けなく足をがたがたと震えさせることしかできなかった。
(サイト…僕はどうすればいいんだぁ〜〜!!)
恐らくこのような常識外れの事態に関してもっとも態勢があるであろう親友の姿を求めたくなった。しかしここに彼は居ない。
頼りになる存在は、ここにはいない…。
ギーシュたちは、己の無力さを呪いながら己の不幸を痛感することしかできなかった。
深い絶望が、この国の未来を担うはずの魔法学院の生徒たちの心を覆い尽くした。
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