暁 〜小説投稿サイト〜
されど咎人は焔と遊ぶ
02 謎の女
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初
日にでも中央へ帰らねばならず、ハボックやブレダ達には傷の男(スカー)の相手は荷が重い。
 単純な消去法で残りはアームストロング少佐とレイ、なのだが。

「そういえばレイ、お前何しに来たんだ?」
「酷!久々に会ったってのにロイってば酷い!」
「やかましい!1ヶ月とか言っていたのに4ヶ月も音信不通だったのは誰だ!」
「あーそれはちょっと色々ありまして…それなりに成果もあったよ、これ報告書」

 至極軽いノリでぽん、とロイに手渡された報告書は厚さ4、5センチはあろうかという書類の束だった。受け取ったロイは無言で上の数枚だけ手に残して後は乱雑に机に放り出す。
 そのままぺらぺらとその数枚だけに目を通し、あっさりサインを入れてファイリングし棚に仕舞い、机に投げ出していた分厚い書類はサインどころかさらっと目を通しただけで処理済みの箱へまとめて放り込んだ。

「…テログループの末端の捕縛か。追加事項は今夜あたりにでも聞かせてもらおう」
「了解です、サー。つーかそれ末端だけど実は頭っていうベタなオチだから。2〜3日後にはそいつこっちに届くからみっちり尋問してやって、ネタは後で教えとく。後日談シミュレートもね」

 報告書を上官に提出、というには随分乱暴なやりとり。
 まるでなにかのついでの瑣末事のようなそれを見るとはなしに眺めていたエドワードは、少々どころか腑に落ちない。

(俺が報告書出すときとでっかい差じゃねーかクソ大佐)

 エドワードがロイに報告書を手渡す時は、何だかんだ言いつつちゃんと最後まで目を通し、その上で必要だと判断されれば訂正や追加項目などの修正を課せられる。
 それは兄弟が関わった事件などにもよるが、軍のある程度上層部までその報告書が回されるからだ。
 事が大きければヒューズの勤める軍法会議所よりもっと上まで記録として上げられることもある。上の者たちがどの程度きちんと目を通すのかは判らないが、ロイがエルリック兄弟の後見人であり、尚且つエドワードを国家錬金術師に推薦したのがロイである以上、エドワードの評価はそのままロイの評価にも繋がるのだ。
 ただでさえ20代の若さで大佐位などという異例の昇進を続けるロイを妬み恐れ、失脚を狙う狸共など上を向けばきりが無い。
 どんな些細なミスだろうと、それこそ重箱の隅をつつくようにして粗探しをしたがる輩に隙を見せるわけにはいかないロイは、サボり魔だの無能だのとは傍から言われるだけで、実際のところ仕事の手を抜くようなことはしない。

 そんなロイを知っているからこそ、怒りの前に違和感を覚えてしまったのだが。

「そりゃお前、そこは経験と実績の差だよ」
「っ!?」

 内心の悪態やら疑問やらをまるっと読まれた上に、いつの間に
[8]前話 [1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ