機動戦艦ナデシコ
1259話
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蔵庫の中から冷えたお茶を取り出し……
『ねえ、アクセル。いる?』
扉の外からそんな声が聞こえてくる。
その声は俺が待っていたエリナ……ではなく、ハルカのものだ。
「どうした?」
扉を開けると、俺の予想通りそこにいたのはハルカ。
手には何かの袋を持っている。
そのハルカは、俺の方を見ながら手を口に当てて一言。
「うわぁお」
「何がうわぁおだ、何が」
「あ、ううん。まさかそんな格好で出てくるとは思わなかったから」
「荷物がなくてな。殆ど成り行きでナデシコに雇われる事になっただけに」
「あー……なるほど。それでこれか」
うん?
ハルカの言葉に疑問を抱いていると、手に持っていた袋を俺の方へと渡してくる。
「はい、これ。プロスペクターさんに持っていくように頼まれたの。着替えと制服一式だって」
「制服?」
「そ。まぁ、ナデシコの中は結構自由だから私服でもいいらしいけど、取りあえずの支給品。下着とかの身の回りで使う物も一通り用意したそうよ」
「へぇ。気が利くな。ありがたく貰っておくよ」
本来なら俺のサポートというか、監視役のエリナが持ってきてもおかしくないんだろうが、昨日の今日だけに顔を合わせづらいんだろう。
……いや、違うな。エリナの性格を考えれば、私情を抜きにしても仕事はきちんとするタイプに見えた。
だとすれば、それどころではない何かがあったか……ぶっちゃけ、昨日のブラックホールエンジンの件だろうな。
情報流出を疑っていたから、それを確認してるとかだと思う。
ともあれ、空間倉庫がない状態で着替えが届いたのはありがたい。
ハルカから袋を受け取り、着替えようとして……その動きを止める。
「何でそこにいる?」
俺の視線が向けられたのは、当然のように部屋の中にいるハルカ。
着替えの入っている袋を俺に渡した後、そのままブリッジに戻るかと思いきや、何故かハルカは俺の部屋に入ってきたのだ。
「べっつにー。ただ、ナデシコがまだ発進してない以上、私がやるべき事はないのよね。だから、暇潰しよ、ひ・ま・つ・ぶ・し」
「つまり、サボりか」
「そうとも言うかもね。ただ、実際にもうこっちに出来ることってないのよ。整備の人達は凄く忙しそうにしてるけど」
着替えを持って、洗面所へと向かう。
さすがにそういう関係になっている訳でもないハルカの前で全裸になるというのは、変態扱いされそうな気がするし。
いや、寧ろ着替えがなくて困っている俺に着替えを持ってきて、その上でこうして部屋の中に入ってきたと考えれば、寧ろ誘っていると考える事も?
……馬鹿らしい。妙な勘違いをして、その結果犯罪者になるのはごめんだ。
ともあれ、風呂場に行って簡単に着替えを済ませる
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