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鎮守府の床屋
前編
6.戦後に向けて……職業調査
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ームと蒸しタオルの熱さがよほど心地よかったのか……いつかのようにおっさんのだみ声としか思えない声を漏らす球磨。まさかお前、女ってのは世を忍ぶ仮の姿で、実は中身おっさんってわけじゃないよな?

「ぅぉぉぉ……この心地よさを堪能出来るなら、別に中身がおっさんでもいいクマぁ……」
「マジかよ……」
「ねぇハル。これは何をやってるの?」
「こうやってあつあつの髭剃りクリームと蒸しタオルで、髭を柔らかくしてるんだ。こうしてやわらかくしたあとに剃ってあげるんだよ」
「柔らかくしないと剃れないの?」
「今回は実験台が球磨だから今一分からんだろうけど、男の髭ってけっこう硬いんだよ。一度提督さんに触らせてもらってみ」
「でも最近の司令官、髭が伸びてることってほとんどないわよ?」

 ……よく考えてみたら、2日に1回ぐらいの割合でココに来てるからな提督さん……その度に髭剃りして昇天してるし……確かに最近は伸びてるとこ見たことないな……

 そんなことを思いながら、『うぁぁあぁぁ……』というおっさんのごとき唸り声をあげる球磨を尻目に、再度髭剃りクリームの準備をすすめる俺。次はちょっと暁ちゃんにも塗らせてみようかと思い、めちゃくちゃたくさんクリームを作った。どうせ軍からの補助金で仕入れたやつで、元手もタダだしね。

「そろそろかな?」

 もはや唸り声もあげずに少しうとうとし始めている球磨の顔に乗せられた蒸しタオルを少しどかせ、ほっぺたを撫でてみる。

「クマ……にへらぁ〜……」

 いい感じにほっぺたが柔らかい。なんだかずっとぷにぷに触ってたい感じの心地いい肌だが、今はそうも言ってられん……

「暁ちゃん。もう1回クリーム塗るから、ちょっと塗ってみる?」
「え?! いいの?!」
「うん」
「やったー!! これで暁も一人前のレディー!!」

 こうして暁ちゃんに髭剃りクリームがてんこ盛りの器を渡し、球磨の顔の蒸しタオルを剥がしてあげた。

「んじゃ、球磨の顔全体に、このハケでクリームをたっぷり塗ってあげてくれ」
「わかったわ! この一人前のレディーに任せて!!」

 果たして一人前のレディーが髭剃りクリームを人に塗る機会があるのかどうかよく分からんけど、楽しそうに球磨の顔にクリームを塗って……いや、てんこ盛りにしていく暁ちゃんが楽しそうだからまぁよしとしよう。

「ぺたぺた〜……」
「うんっ……ダメクマ……きもちい……クマ……」

 暁ちゃんが球磨のほっぺたや顎にクリームをてんこ盛りにしていき、その度に球磨の口から気持ちよさそうなため息というか変な声が出ている。さっきのおっさんみたいな声はどうした妖怪だみ声女。急に女の子みたいな声だしやがって。

「ハル! 全部塗ったわよ!!」
「うん。まるで球磨ができ
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