神の領域
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放出するシェリア。対して俺は、自分の黒い冷気を腕に纏わせ渦巻かせ、腕を突き出すようにしてそれを放つ。
二人の黒い風と氷は交じり合いながら扉へと一直線に伸びていく。通常の魔導士では一生かけても修得することもできないとされる合体魔法。それに限りなく近いものを俺たちは打ち出した。それはきっと、長い間一緒に暮らしてきた関係だからこそのものなのだろう。
俺たちの全力の魔法は、誰にも邪魔されることなく扉へと衝突した。その衝撃で、周囲に煙が蔓延する。
「なっ!?」
「すごい・・・」
白い鎧を着たゴッツイ人と、それに抱えられているお姫様が俺とシェリアの魔法の威力に驚いている。まぁ、俺の魔法はドラゴンと張り合えるぐらいだし、シェリアだって実力者。どんなものでも壊すことくらい簡単だろう。
なんて、甘いことを考えていた自分が少し恥ずかしくなった。
「え!?」
「マジか・・・」
目を大きく開き、驚愕するシェリアとため息をつく俺。煙が晴れるとそこには、わずかなヒビしか入っていない扉が存在していたのだ。
「そんな!?」
「レオンとシェリアでもダメなの!?」
ハッピーとラウルがそれを見て落胆する。ヒビが入っているのを見ると、何度もやってれば壊れるとは思うけど、それはちょっと厳しいかな。
俺は最初に隣に立つ少女を横目で見る。彼女は大魔闘演武の戦いでの疲労と、回復魔法の連発でかなり魔力が消耗している。おそらく、滅神奥義は出来て後一回。
「水竜の鉄拳!!」
「天竜の砕牙!!」
次に後ろで戦う滅竜魔導士の二人を見る。水髪の少年がドラゴンの額に拳を入れ、藍髪の少女が頬を引っ掻く。
「むぅ!!嬢ちゃんたちと遊びたいのは山々だが、今はそれどころではない!!」
「ぐはっ!!」
「うわっ!!」
女好きのドラゴンはそう言うと二人を薙ぎ払う。体重に差がありすぎるのか、彼らは簡単に飛ばされてしまう。
「うぅっ・・・」
「痛いけど・・・」
「「まだまだこれから!!」」
二人は気合いを入れ直すと、再度ドラゴンへと突撃を試みる。
「邪魔じゃ!!」
「ウェンディ!!右に!!」
「わかった!!」
彼らを叩き潰そうと拳を振りかざすドラゴン。だが、それをシリルの指示でウェンディと少年はあっさり回避する。
「大丈夫?シェリア」
「全然大丈夫!!ウェンディたちが頑張ってるんだもん!!あたしだって負けてられないよ!!」
強がってはいるが、かなり息が上がっている。これは・・・
「俺が頑張らないとダメか」
シェリアは本当なら、もっともっと強くて力のある魔導士に、今の段階でなれていたはずなんだ。だけど、それは俺の勝手な判断と行動で、皆の予想よりも低いもの
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