第1章始節 奇縁のプレリュード 2023/11
2話 試練の幕開け
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を踏破し、フロアボスを撃破し、次階層を有効化する。その一連の行動が攻略組の実態とされていることだろう。その認識を否定するつもりはない。しかし、俺の活動は多分に大衆の認識を異にするところにあるのだ。
隠しクエストや隠しダンジョンの攻略。
第一層より続けてきた俺のライフワークは、当然の事ながら迷宮区攻略と並行して進行させることの出来ないものである。隠しダンジョンや隠しクエストを発見、攻略する間にフロアボスが倒されていたという事も往々にして経験した。しかし、在りし第四層ボス攻略会議において俺に転機が訪れたのである。
それはクーネ達が未だギルドを結成する前、俺は彼女達と主街区にて遭遇し《ボス攻略を共に参加する》約束を取り交わした。その後に大型隠しクエストも共に攻略し、いよいよ迷宮区の探索を開始しようとした矢先に思わぬ障害が立ちはだかったのだ。
前線攻略ギルド《DKB》リーダー、現《聖竜連合》リーダーであるリンドが俺達のレイド参加に反対票を投じたのである。
第一層ボス攻略以降、会議にすら顔を出さないままでいたプレイヤーを気安くレイドに加えることは出来ないという痛烈な意見は今でも鮮明に記憶しているところであるが、その状況にあって助け舟を寄越してくれたのは意外にもキバオウだった。
彼はいつぞやかエギルがして見せた――――俺はその現場を見ていないのだが――――ように攻略本を持ち上げて弁明を買って出てくれたのだ。あまりにも予想の域外を往く事態にヒヨリまでもが唖然としつつ、雄弁を遂げたキバオウでさえも顔を赤くするという珍事に見舞われながらも、俺を含めたクーネ達はボス戦に参加することが叶ったのだ。
加えて、以降もボス攻略においては暗黙の了解である《迷宮区攻略》を例外的に免除され、攻略組や中層プレイヤーがレベリングをするにあたって効率の良いクエストを捜査、公開することを条件として特例的にボス攻略への参加が認められた。これが現在に至る俺の顛末にして、先の《恩赦》の所以になる。
………逆説的に言えば、俺が前線に残り続けるために前線プレイヤーに効率的な狩り場と周回クエストを探して提供しろ。という指図を受けてしまったのである。
まだキバオウが前線に在ったころは彼が後ろ盾となってくれていたが、今では《血盟騎士団》と《聖竜連合》が幅を利かせるなかで、極めて苦しい立場となりつつあるのが現状であるが。
昔話を交えながらも不遇な立場に繋がる情報は伏せ、現在の長々とした経緯を話し終えると、グリセルダさんは真剣な表情で聞き入っていた。それほど真面目に聞かれる話でもないのだが、最後に一際大きく頷くと、こう宣ったのだ。
「スレイド君、ちゃんとお友達居たのね。安心したわ」
「………そうか。俺の交友関係が不安だっ
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