第9話 感知
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る。
「あとは……」
「えっ?」
サソリの視線は目の前にそびえたつ廃ビルの中に注がれる。
白井と殺し合っている相手が、忍だとすれば……
サソリは少ない手がかりから、もっとも可能性がありそうなものを導いていた。
「少し待っていろ」
サソリは地面を確かめるように足を踏みしめる。
「ご、ごめん……」
佐天が謝ってきた。
サソリは首を後ろに向けて、予想外の行動に目を丸くした。
「どうした?」
「あ、あたしのせいで……何も能力がないくせにシャシャリ出て、白井さんを……迷惑ばかり掛けて」
文の接続がおかしく、声が擦れている。
佐天の目から涙がこぼれていた。
佐天は罪悪感から、頭が痺れるように痛んでいる。
サソリは、黙って佐天の主張を聞くだけ聞くと
「別に能力なんて人それぞれじゃね?」
佐天は俯いていた顔を上げた。
「何に落ち込んでいるか知らねえけど……お前が気づいていないだけだろ」
サソリは、それだけを言うと「忍」の手掛かりがあるかもしれない白井の元へと割れたガラス戸を潜っていった。
そのころ、廃ビル内を逃げ回っている白井はリーダー格の不良にあるゲームを持ちかけられていた。
逃げ回って良いのは、このビルの中だけ
もし、外に逃げたらビルの近くにいる人に危害を加える。
というルールのゲームという名の残虐性のある遊びだった。
白井の攻撃方法はテレポートによる能力を応用だ。
触れているものを座標計算で任意の場所に移動させることができる彼女にとっては、普通の暴力に訴えるチンピラでは相手にならないはずなのだが……
今回の相手は勝手が違っていた。
白井の能力である「テレポート」能力は、座標計算をした物体を瞬間移動させることができるのだが、その大部分の情報を視覚情報に頼っている。
視覚に頼るということは、光による位置情報だ。
相手の能力は、その光を操る能力で本体の前で焦点を結ぶことにより相手の距離感を狂わせていく。
まさに、白井にとってみれば相性が悪い相手だ。
白井は、さきほど蹴られた腹部を庇うようにして相手との距離を取り、突破口を探っている。
白い髪をしたリーダー格が使っている能力は察しが付いているのだが、決めつけはできない。
もっと情報がいりますわ……
サソリは、音を頼りに忍で慣らした足で歩みを進める。
「音鳴らし過ぎだろ……」
サソリは全く隠す気のない振動に眼を細めながら音源の元へと向かう。
サソリもどちらかと云えば「隠密」は苦手な部類だ。
隠れるよりも敵を殺しながら移動していくため、隠密潜入よりも奇襲という表現が近い。
バラバラと足元に散らばる石ころを踏みしめながら、サソリは追い詰めるように音のする場所へと向かった。
チャクラ反応がないということは、まだ接触していな
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