二十七話:ホテル
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怒りも言葉を失ってしまった。
スバルのその顔は、その表情は、ある男を思い出させるにはあまりにも似すぎていた。
「ヴィータ副隊長、あの……私も止められなかった責任があります。こうなることは薄々感づいていたのに……」
「……ティアナ、おまえはスバルを連れて裏口の警護に行け。後は隊長陣で片づける」
「は、はい」
駆け寄ってきたティアナにぶっきらぼうに指示を出し、ヴィータは何かを振り払うように空へと飛び立つ。考え過ぎだろう。考え過ぎであってほしい。だがスバルの瞳が脳裏にこびりついて離れない。あの目は―――人間がするべき目ではない。
スカリエッティのアジトに不気味な笑い声が響く。今回、スカリエッティは六課、厳密に言えばエリオやスバルのデータ採取の為に切嗣とルーテシアの助力を得てガジェットに襲わせ、戦闘データをさらに詳細なものにした。
個人的な趣味に使う骨董品に関しては切嗣に協力を要請し何食わぬ顔で入手することにも成功した。だが、この笑いはそれらの成功に喜んでいるからではない。もっと面白いものを見つけたからである。
「くははは! 素晴らしい、実に素晴らしい! 創造主の手を離れたが故に私自らでは決してなしえなかった変化が訪れるとは。やはり生命とは最高の素材だ!」
モニターにはサーチャー越しにスバルの姿が映し出されている。今まではただのタイプゼロとして、作品の一つとしてしか見ていなかった。しかし、今回の件でその考えは変わった。いや、確信したと言った方が正しいだろう。彼女もまた異常者であると。
己の欲望を満たすに相応しい存在であると。
「祝福しよう、スバル・ナカジマ。君は無限の欲望を背負うにふさわしい―――」
そう、今の彼女がそんなことを望んでいないとしても彼女が衛宮切嗣に憧れる限り逃れられない。遠くない未来に彼女は彼と同じように願うだろう。誰もが平和であるというあり得ない世界を。なぜなら彼女は―――
「―――正義の味方になるからね」
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