第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
赤丸
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「サクラぁあああ」
泣いているいのを真正面から抱きとめ、戸惑った顔でサクラはシカマル、シノ、ネジ、テンテンへと視線を向けた。いのの手は怖いくらいに真っ赤だ。それが返り血であることはわかったけれども、一瞬びっくりした。
「いのは……九人の音忍相手に戦って、そしてそれ全員を殺したのよ」
木に寄りかかり苦しそうなテンテンと、脂汗を流しながら地面に蹲って休憩を取っているネジが、泣いているいのの代わりに説明した。キバ小隊を追ってきた音忍を巻くために囮となり、トラップと心転身で五人を倒したこと。一度は危機に瀕した彼女を駆けつけたテンテンとネジが救い、残りの四人を捕らえたこと――そして手負いのテンテンとネジ、そしていのだけでは到底彼らを里まで引っ張っていくのは不可能と判断し、いのが残りの四人も手にかけたこと。
「そう……」
「怖かった……わ、わたし、人を殺したの……起爆札で。クナイで。あぁ、あ……!」
サクラは震えるいのを抱きしめた。ネジやシノによると、キバ小隊は真っ直ぐ我愛羅達を追いかけているのだそうだ。そういうシカマル小隊は慎重も兼ねて少し遠回りなルートを通っている。
「いの。よくやったな」
数分足らずの話し合いの結果、精神的に戦い続けるのは少し酷であろういの、重傷を負ったネジとテンテンは一旦マナとヒナタ、リーとユヅルのいる日向宗家に引き返すことになった。いのに近づき、シカマルはくしゃりとその頭を撫でる。
「あの時……考えてたの。シカマルや、サクラならどうするかって」
ぽつり、と彼女のこぼした言葉にシカマルとサクラは息を呑んだ。赤い手袋でもはめたかのように真っ赤な手を握り合わせて、泣きながらもいのは言った。
「お願い……チョウジと、サスケくんを。キバと赤丸を。お願い……!」
「わかったわ」
サクラが強く頷き、そして言った。
「いの、ありがとう」
シカマル、シノと共に飛び上がる。友達としていのを励ますのは後でいい。今は忍びとして、木ノ葉を守らなければ。
彼らは走り出す。里を守るために。仲間を守るために。
+
「面倒なことに、なりましたねえ……」
鬼鮫がぼやいた。イタチもそれに同意せざるを得ない。
鬼灯弦月。角都ほどではないが彼女もかなりの高齢だ。ここまで生きながらえたからには当然それなりの経験も積んであるはずで、そして角都ほどに、もしくは角都以上に彼女は老獪だった(なんというか、なんだかんだ言って逃げ隠れせず正々堂々と戦う上に、手出しをしないと言ったら本当に手出しをしない角都とは違って、彼女は嘘つき且つ狡賢いのである。それが忍びの本質だと彼女は言うしそれはある意味真実なのだが)。
そんな弦月が刀の群れと共に少しずつ自分たちを移動させている
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