第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
赤丸
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のには気づいていたが――彼女の仲間の、確か千手蓮助とか言う忍びに、薬師カブトというサソリのスパイらしい青年が三忍を二人もこっちに引っ張ってきてくれるとは思わなかった。
どこかの赤シャツと違って彼らは一発で二人がうちはイタチと干柿鬼鮫であると分析し、蝦蟇と蛞蝓とでこちらに全力で戦闘をぶっかけてきたのである。早くサスケを探し出したい上、木ノ葉の忍びを極力傷つけたくないイタチとしては全く持って迷惑極まりない。その上、奴ら三人は全員いつの間にか消えているのだ。柄にも無く悪罵を吐き出したい気分を抑えながら、イタチは自来也と綱手をあまり傷つけないような理由をひねり出す。
「鬼鮫、あの二人を傷つけるのはやめろ」
「――何故です?」
訝しげな顔をする鬼鮫に、イタチは淡々と、感情を押し隠して告げる。ポーカーフェイスならお手の物だ。
「第一に、一人ならともかく、二人となると俺たち二人では中々難しい――片方が医療忍者であるなら尚更な。第二に、俺たちが隙を見て二人の前から消えれば、二人の注意は必然的に大蛇丸に向く」
「成る程……大蛇丸の粛清も出来るし同時に木ノ葉も潰せるしで一石二鳥、というわけですね。了解しました。――となったら鮫肌でチャクラを吸うのはあまり得策ではありませんね……」
「鬼鮫、俺が合図をしたら霧隠れの術を発動してくれ」
「わかりました」
言って、二人同時に飛び上がって距離を取る。綱手の拳が地面を打ち割り、巨大な蝦蟇がこちらに向かって突進してくる。
「霧隠れの術!!」
鬼鮫が印を組むのと同時に、あたりが霧に包まれた。相手が弦月と舐犢だった場合は完全に意味のない術だったが、相手が自来也と綱手ならばわりと効果はある。イタチと鬼鮫は一時撤退した。
+
赤丸は遠くで何かの血腥い臭いを嗅いだ。死の臭いだ。自分も知っている臭いが三つある。赤丸は大好きな兄貴にそのことを伝えた。猪の臭いのする女と、忍具の鉄くさい臭い女と、日向宗家の屋敷の壁に塗られた膠の臭いのする男が、蛇の臭いを漂わせた男を九人倒したと。
「音忍が……倒されたみてえだ!」
「ホント!?」
兄貴が嬉しそうにそう言えば、蝶の羽についている粉とよく似た臭いの男が顔を輝かせた。赤い血、べったべた。蛇の臭いのやつらはみぃんな死んだと、告げれば兄貴はもっと嬉しそうだ。
「しかも全員死んだみてェだ。それに、……ネジやテンテンとかって女も加勢に来たらしい」
「よかったぁあ……いのが無事で。しかもあの二人が助けにきてくれるなんてなあ」
兄貴もその仲間もほっとしていることが伝わってきて、赤丸も嬉しくなった。ついでに伝える。鹿の臭いのする男と、蟲の臭いのする男、それからもう一人、汗と土の臭いを漂わせた女がこちらに向かって走ってきていて、あ
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