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鎮守府の床屋
前編
5.拉致。そして昼寝。
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の心地いい圧迫感に捕まってしまい、まぶたが急激に重みを増して起きてられなくなった。なんとかして頭を動かし、視界に加古が入った時、俺はなんだか不思議な光景を見た。

――加古……ハルさんもココを気に入ってくれてよかったね 私もうれしいよ

 それは、桜の木の幹を枕にしているはずの加古に膝枕をしてあげている、加古によく似た……でも幾分加古よりも顔つきが優しげで柔らかい、左目が金色に輝いている女の子の姿だった。その女の子は、眠りこける加古の頭を、微笑みながら優しく丁寧に撫でていた。

「あれ……加古……誰それ……?」

 俺は、加古にその子が誰なのかを必死に問いただそうとしたが、もう限界だった……眠る加古と、その加古に膝枕する女の子……そして俺の腹を執拗に圧迫している球磨の頭の重みを感じながら、俺は夢の世界へと堕ちていった……

 その後、思いっきり熟睡してしまった俺と球磨、そしてここでサボっているのがバレた加古は、追いかけてきた北上と暁ちゃん、そして真面目に掃除を続けていた提督と川内にこってりと絞られ……といっても俺は被害者だったからそこまで怒られなかったけど……球磨は宿舎の掃除に加えて浴場の残りを、加古は宿舎と執務室の掃除を罰として追加されていた。

 俺はというと、女湯の腰掛けを磨き終わった後、提督さんと一緒に掃除が終わった食堂で一緒にコーヒーを飲んでいた。他の艦娘のみんなはまだ掃除中らしい。特に球磨はサボりと俺の拉致の罰として担当箇所が増えてしまい、ヒーコラ言いながら掃除中だそうだ。いい気味だ。ざまーみろ妖怪拉致監禁女。俺の腹に容赦なくコークスクリューを突き刺した罰だ。

「ところで提督さん」
「ん?」
「さっき球磨に拉致られてあの丘に行った時、ちょっと変な夢っつーか幻っつーか……妙なのを見たんですよね」
「?」

 俺は、さっき丘の上で見た、加古を膝枕していた女の子の話をした。あの、加古の頭を優しく撫でる女の子の、あの神秘的な姿がどうしても気になって仕方がなかったからだ。

「……それは多分、古鷹だろう」
「? フルタカ?」
「ああ。加古の姉でな。よく加古と古鷹は、あの丘で一緒にいたんだ。俺が二人を探しに行くと、あの丘でよく昼寝してたよ。古鷹が加古を膝枕してな」
「加古にはお姉ちゃんがいるんすね」
「ああ」

 俺はオカルトなんて信用しない。でも今回は、なぜだか提督さんの話を聞いて、俺が見た女の子は、きっと古鷹という子で間違いないのだろうと思えた。

 なぜなら、次に提督さんが言った言葉が、俺にほんの少しの胸の痛みを残したからだった。

「古鷹はな……轟沈したんだ……敵の砲弾の雨あられから、加古をかばって」
「……すみません提督さん。余計なことを聞いて……」
「いいさ。古鷹が今も加古を見守
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