病院へ
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泣き声が風に流れる。
暁は赤ちゃんを抱き、
よしよしと優しく背を叩く。
おじさんから貰った上着を加工し、
赤ちゃんを包み、前の方でたすき掛けしている。
そんな泣き声も暁のあやす声も、
バリバリ唸るエンジン音にかき消される。
暁「うるさいわよ!」
バシッと白露を叩く。
白露「いったーい!やめてよ!
うるさいならエンジンに言ってよ〜」
暁「エンジンが聞くわけないじゃない!」
突如、タイヤの叫び声が響き、
暁が白露の背に顔をうずめる。
暁「うぶっ!いきなり止まるなんて何よ!」
暁は顔を剥がし、前を見る。
暁「ひゃっ!」
目の前には道路が無く、陥没した道路が広がっていた。
白露「敵の爆撃の後みたいだね〜」
手の平で影を作り、穴を覗き込む。
絶壁スレスレに付いていた足を上げると、崩れた欠片がパラパラと落ちた。
深さは数mの大穴が、道路の至る所に空いている。
白露「暁、他の道を知ってる?」
暁「他の道?んーー」
顎に指をあて、記憶を探る。
暁「遠回りになっちゃうけど、
川沿いの道があるわ」
白露「川沿いね、OK、進路変更するね!」
スタンドを蹴りマシンを唸らせながら、方向転換した。
川沿いに出る道を進む。
こちらの方は比較的被害は少ないようだ。
しかし、人影は見当たらなく閑散としていた。
慌てて逃げたのだろうか、事故起こした車両がそのまま放置されていた。
しばらく進むと川沿いにやってきた。
白露「暁、赤ちゃんの様子はどう?
暁「大人しくしているわ。バイクの音にも慣れてきたみたい」
白露「将来性があるね」
暁「どういう意味よ?」
怪訝な表情で聞く。
白露「いいライダーになるかもね〜」
涼しい顔で答えた。
暁「なる訳ないじゃない」
やれやれと肩を落とす。
白露「それじゃ早く病院に向かうね」
最後の言葉は聞かなかった。
その時、下流の方向から凄いスピードで接近する水飛沫が見えた。
白露「あーあー、今日はとことんついてないね!」
暁「あいつら!」
敵駆逐艦「グギギ、、コワス、コワス!」
敵駆逐艦の部隊が川を登り、侵攻して来たのだ。
次々と街にに攻撃を開始し、
閑静な街並みは、見るも無残に壊されていく。
白露「暁やっちゃって!」
ビシッと敵を指差す。
暁「でも赤ちゃんがいて攻撃できないわ!」
抱えた赤ちゃんを見せる。
赤ちゃんはキャッキャ、嬉しそうだ。
白露「そんな、しょうがない、振り切るわよ!」
白露は敵を恨めしそうに見ながら、
前に向き直った。
敵駆逐艦1「ガガ、アノバイクハ?」
敵駆逐艦2「ニンゲン、コロス」
早々に敵に発見される。
暁「見つかったわ!」
敵の攻撃はバイクに向けられる。
砲撃は防波堤をくだき、機銃が執拗にバイクを狙い、
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