29話 ギレンの遺産 2.21
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は私にとってかけがえのないものだったのは確かです」
アムロはシャアの飾らない言葉に衝撃を受けた。成程、人との交わりの大切さはそういうことなんだと。
以前の世界のシャアは頑なだったのだ。あまりに型にはまり過ぎていた。今のシャアはとてもフレキシブルだ。ガルマと共に融和と協調、時には武力でと様々な手段を上手くバランス良く用いる。自殺願望、自己陶酔とはまるで無縁だ。
テムは腰に手をやり伸びをした。それから2人に両機のテストプログラムを伝えた。
「それじゃあテストといこうか。このまま納品する訳にはいかないからな」
「ああ、宜しく」
「レイ博士、宜しくお願い致します」
そう言って、3人は格納庫のドアからテムの研究室へ足を運んでいった。
その出ていく姿をオクトバーは見送っていた。
「・・・連邦とジオンのエース同士がタッグを組むなんて無双だな」
そうオクトバーは含み笑いをして、テムの代わりに整備班に指示を出していた。
* 地球 パリ市内 3.4
カイはホテルの一室にてガエルと会合していた。
この会談自体も隠密だった。
ミハルが紅茶を入れて、カイとガエルに給仕した。
「ありがとう」
ガエルがミハルにお礼を述べると、ミハルは「どういたしまして」と答えた。
カイは単刀直入に話し掛けた。
「で、ガエルさん。私に何の御用で?」
ガエルはカイの目を真っすぐ見据えて話し始めた。
「・・・主人のサイアムより、あるものを連邦議会へ持ち込んで発表して欲しい。その為のパイプを取り次いでもらいたい」
「その代物は?」
「真の連邦憲章です」
カイの眉が吊り上がった。
「真の?今あるものとどう違うのか?」
「最後の条文が連邦政府が現状の連邦政府の在り方を否定し、世界は選択を迫られるでしょう」
「・・・文章でか。今の態勢が変わるとは思えんが・・・」
「ええ、変わるとは思えません。ただ人類に道標を持たせることができます。連邦政体打倒も肯定されます」
カイは腕を組んだ。これは唯の演劇、オペラの様な代物らしいとカイは思った。このジョークに付き合ってくれそうな暇な重鎮が一人だけ心当たりがあった。
「・・・ゴップ議長だな」
「は?」
「中立派のゴップだ。彼ならそんなイタズラに付き合ってくれるだろう。取り次いでやる」
ガエルはカイの話に少し間を置いた。主人の命は絶対だ。果たせない時は死で報いるが、果たせないことが死んでも死にきれない程ガエルは忠臣だった。ガエルは主人の言葉を思い出した。「カイ・シデンにジョン・バウアーを取り次いでもらう」という言葉を。
「・・・カイさん、私は主人よりバウアー氏に取り次いでもらうように言われておりま
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