暁 〜小説投稿サイト〜
逆襲のアムロ
29話 ギレンの遺産 2.21 
[11/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
は私にとってかけがえのないものだったのは確かです」

アムロはシャアの飾らない言葉に衝撃を受けた。成程、人との交わりの大切さはそういうことなんだと。
以前の世界のシャアは頑なだったのだ。あまりに型にはまり過ぎていた。今のシャアはとてもフレキシブルだ。ガルマと共に融和と協調、時には武力でと様々な手段を上手くバランス良く用いる。自殺願望、自己陶酔とはまるで無縁だ。

テムは腰に手をやり伸びをした。それから2人に両機のテストプログラムを伝えた。

「それじゃあテストといこうか。このまま納品する訳にはいかないからな」

「ああ、宜しく」

「レイ博士、宜しくお願い致します」

そう言って、3人は格納庫のドアからテムの研究室へ足を運んでいった。
その出ていく姿をオクトバーは見送っていた。

「・・・連邦とジオンのエース同士がタッグを組むなんて無双だな」

そうオクトバーは含み笑いをして、テムの代わりに整備班に指示を出していた。


* 地球 パリ市内 3.4


カイはホテルの一室にてガエルと会合していた。
この会談自体も隠密だった。

ミハルが紅茶を入れて、カイとガエルに給仕した。

「ありがとう」

ガエルがミハルにお礼を述べると、ミハルは「どういたしまして」と答えた。
カイは単刀直入に話し掛けた。

「で、ガエルさん。私に何の御用で?」

ガエルはカイの目を真っすぐ見据えて話し始めた。

「・・・主人のサイアムより、あるものを連邦議会へ持ち込んで発表して欲しい。その為のパイプを取り次いでもらいたい」

「その代物は?」

「真の連邦憲章です」

カイの眉が吊り上がった。

「真の?今あるものとどう違うのか?」

「最後の条文が連邦政府が現状の連邦政府の在り方を否定し、世界は選択を迫られるでしょう」

「・・・文章でか。今の態勢が変わるとは思えんが・・・」

「ええ、変わるとは思えません。ただ人類に道標を持たせることができます。連邦政体打倒も肯定されます」

カイは腕を組んだ。これは唯の演劇、オペラの様な代物らしいとカイは思った。このジョークに付き合ってくれそうな暇な重鎮が一人だけ心当たりがあった。

「・・・ゴップ議長だな」

「は?」

「中立派のゴップだ。彼ならそんなイタズラに付き合ってくれるだろう。取り次いでやる」

ガエルはカイの話に少し間を置いた。主人の命は絶対だ。果たせない時は死で報いるが、果たせないことが死んでも死にきれない程ガエルは忠臣だった。ガエルは主人の言葉を思い出した。「カイ・シデンにジョン・バウアーを取り次いでもらう」という言葉を。

「・・・カイさん、私は主人よりバウアー氏に取り次いでもらうように言われておりま
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ