29話 ギレンの遺産 2.21
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。しかも2人の女性のみを理論上の成功数値と期待して」
マ・クベはそれをデスクの上に投げた。マ・クベの目的のものはこれではなかった。
キシリアが生前述べていたことを思い出し、ここへやって来ていた。
「マ・クベよ。あのフロンタルという者は得体が知れない。私の情報機関が兄ギレンがある研究をしていることを突きとめている。そのものの個体情報を兄に流す」
マ・クベはキシリアから言われたことが妙に引っかかっていた。
マ・クベ自身、社会の見識は大企業の元締めに適うぐらいのものを持っていた。自負、自意識はしてはいないが、その彼がこの今の時流に物凄い違和感を感じていた。
「(かの者の個体がクローン化されても、それで彼に何ができる訳でもないが、何も分からないよりは良い・・・)」
マ・クベは上部デッキにある検体カプセルを見て回った。
するとある所から金髪の少年から青年に変わっていた。
マ・クベはその顔を見比べ、まるで違うということでこれが目的の検体だと悟った。
「これか・・・。これのデータは」
マ・クベは傍にある資料を探し始めた。そしてその者の実験試料が見つかった。
*検体1 検体の生体稼働後、直後錯乱し自壊。
*検体2 検体の生体稼働後、無心のまま、学習も出来ず自壊。
*検体3 検体の生体稼働後、目すら見開くこともせず自壊。
・・・
マ・クベはこの施設のレベルの高さを知っていた。
生体稼働後の学習や自活が99%成功をしている。例えどんな素体でも。その残り1%未満の物がフロンタルに当たるのかと。
「要因とすれば・・・」
マ・クベはこの素体の欠点を調べているはずだと考えて調べた。
するとある一つの見解が資料に殴り書きされていた。
(・・・人外。遺伝子データに未登録。創られたもの・・・)
「・・・」
マ・クベは目を閉じ瞑想した。
遺伝子レベルの問題でフロンタル検体のクローンが作成できない理由はデータにないから。
材料を揃えても作り方を知らないか、知っている作り方では材料が足りないかのいずれかだとマ・クベは考察した。
「・・・後者が妥当か。この殴り書きと合わせると、フロンタルは人造物か・・・」
いわゆるアンドロイドと同等なものを人の遺伝子と同様の生成で作ろうとしたことがそもそもの破綻の原因だった、そう推理した。その直後、マ・クベの耳にコツコツと靴の音が背後から聞こえてきた。
「(・・・奴か)」
マ・クベはため息を付き、近づいてくる人物に敢えて目を合わせなかった。
その人物がマ・クベに語り掛けてきた。
「君らの勤勉さには感服する。私を調べていたとはね」
「常人の感覚、そしてある程度の指導者ならば、君の脅威を感じない者はいないだろう」
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